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三水会2013年10月講演会

■講演テーマ:「女優・夏目雅子はなぜ早世したか?」
■講師:加賀美 均(かがみ ひとし)さん(‘76年法法)
    公益財団法人日本骨髄バンク・広報渉外部主幹
    http://www.jmdp.or.jp/" http://www.jmdp.or.jp/ 
■日時:2013年10月16日(水)18時30分~21時

■場所:ソフィアンズクラブ
■参加者数:20名


①正面写真RIMG56589
加賀美均氏

▼血液のがんである白血病が増えているのはなぜか?

私の所属している公益財団法人日本骨髄バンクは、白血病患者の命を救うことを最大のミッションとしています。財団は、血液のガンである白血病患者の有効な治療である骨髄移植等の橋渡しする事業を展開しています。
日本の白血病の年間の発症数は、昨年まで7千人くらいでしたが、今年になって1万人を超えている(悪性リンパ種を含むと約1万3千人)と公表されました。そして白血病で亡くなる方はおよそ8千人、厳密に言うと7,726人・人口10万人あたり6.06人が毎日、白血病で命を落としている計算になります。
一方、交通事故の年間死者数は、昨年4,412人で年々減少しています。他方で白血病が増加しているのは何とも皮肉な結果です。因みに1970年の年間交通事故死者数は、1万6,765人で当時「交通戦争」と言われていました。それに近い数字が白血病でも将来あり得るかもしれません。
血液のがんである白血病が増えているのはなぜか?原因は定かでありませんが、一般に社会が高齢化しているためとも指摘されています。また、不確定要素としてフクシマ原発事故による後遺症としての白血病がこの先どの程度発症するのか予断を許さないのです。現在、日本中その危機意識がマヒしています。世の中全体に危機が日常化しているムードがあり憂慮せざるを得ません。

②オープニングRIMG56597
講演会のオープニング様子

▼もし骨髄バンクがあったら、惜しまれる女優夏目雅子さんの死

骨髄バンクは、1991年1月にスタートしました。今年で22年目です。今年9月まで公益財団法人骨髄移植推進財団でしたが、10月1日から「公益財団法人日本骨髄バンク」と名称が変わりました。ここには、公共広告機構(ACジャパン)作成した多くのポスターがありますが、これらは骨髄バンクの歴史を象徴しています。例えば、享年27歳、急性白血病で亡くなった女優夏目雅子さんのポスターのコピーを紹介します。「昭和60年(1985)-その美しい人は、白血病に倒れた。あの頃もし日本に骨髄バンクがあり、あなたのドナー登録があったなら、ぼくらは46歳の夏目雅子さんに会えたかもしれない」と。このポスターは今から10年前のものですが、骨髄移植で白血病を克服し今も存命であれば美貌の夏目雅子さんは、56歳で大型女優として映画にテレビに名を馳せていたことでしょう。残念です。

④講演の様子 ポスター説明RIMG56656
夏目雅子さんのポスターの説明をする加賀美氏

▼海外に比較し絶対的に少ない日本の骨髄移植ドナー(提供者)

白血病患者への提供方法は、一般的に二つあります(他にさい帯血移植がある)。一つは、骨髄移植です。これは、ドナーが全身麻酔をして腰の骨から注射器で骨髄液を吸引し、採取した骨髄液を患者の静脈へ点滴で注入する方法です。もう一つは、末梢血幹細胞移植です。末梢血には通常造血幹細胞はほとんど存在しませんが、白血球を増やす薬(G-CSF)を注射すると、末梢血中にも流れ出します。採取前の3~4日間連日注射し造血幹細胞が増えたところで、血液成分を分離する機器を使い造血幹細胞を採取し白血病患者に注入し治療します。どちらの方法にも一長一短があります。
人の赤血球には、ABO型があるように白血球にもHLA型という型があります。骨髄移植・末梢血幹細胞移植では、患者さんとドナーのHLA型の一致が必要です。HLA型の一致しない移植は、拒絶反応などの重篤な合併症(GVHD)の恐れがあります。HLA型適合の確率は兄弟姉妹間では4分の1ですが、非血縁者間(他人間)では、数百~数万分の1となります。だからこそドナー登録者数を増やす必要があるのです。とりわけ、若年層のドナー登録を望んでいます。現在、登録者数は、9月末で436,998人です。因みに、米国は7,062,114人、ドイツは5,043,293人で一桁違います。HLA型が合いにくいので母数、つまりドナー登録者を増やす必要があるのです。そうすれば患者に適合する確率もそれだけ多くなります。
 最近のデータ(9月末現在)を見ると患者登録者数(現在数)は2,896人、移植例数(1993年の最初の移植から今年9月末まで20年間の累計数)は16,083例です。実は2回骨髄提供された方が943人もいます。一生涯に2回だけしか提供できません。この数字を見ると「世の中すてたものじゃない!」と思うと同時に、崇高な精神を持った彼らに最大限のリスペクトをしたいと思っています。

▼ドナー登録の現状と展望―あってはならない同意の撤回

それではここでドナー登録から提供までがどうなっているかというと、ドナー登録は2ml、サイコロ2個分の採血だけで登録完了です。これを日赤の骨髄データセンターが個人情報を含め管理し、ドナーと患者の白血球のHLA型が適合するかをコンピュータ検索します。適合すれば、提供意思を確認する通知がドナーに送られます。次に移植コーディネーターや調整医師の事前説明や問診を受けます。提供意思があれば健康状態をチェックするため採血します。さらに家族や第三者を交えて最終同意にサインします。これが、ドナー登録から提供まで流れです。
そしてドナーの白血球のHLA型が患者と適合し、ドナーが提供したいという任意の意思表示があればコーディネートが進みます。さらに家族や第三者の立ち会いの下、本人の最終同意が行われます。最終同意があると患者さんは、それを前提に無菌室に入り前処置を行います。具体的に言うと、移植に先立ち患者さんは、自身の造血組織および腫瘍化した細胞を根絶するために致死量を超える抗ガン剤投与や全身に放射線照射を受け準備態勢に入ります。もしこの時点で同意が撤回されると患者さんは亡くなります。あってはならないことですが、こういったケースがまれに起こるのも事実です。悩ましい問題と言わざるを得ません。先ほどの2回提供する崇高なドナーもいれば、極めて少数ですがこうした残念なドナーもいるわけです。
今日の医学研究は、日進月歩です。例えばiPS細胞の実用化、創薬や培養の開発が進めば、白血病はかつての結核と同じように治る病気に変わるかもしれません。そうなることが望ましいのですが、いま現に白血病の患者がいるわけですから当面は骨髄移植でクリアーしていくしかないのです。

▼重責増す骨髄バンク―求められるボランティア精神

骨髄バンクは、下からのボトムアップでできたボランティアが支える民主主義的組織です。大げさに言えば、日本の歴史上極めて稀な組織です。他の多くの団体のようなトップダウンの組織とは真逆な立ち位置にあります。22年前のスタートの地点に戻ればそれはおのずから明らかです。名古屋の白血病患者とその家族の一声が全国津々浦々の人々の共感を呼び、国に働きかけ国を動かして出来上がった組織です。「患者の命を救う」というメッセージは、普遍的なものです。これは、上智大学の建学の精神「Men and Women for the Others, with Others」(他者のために他者とともに生きる)とも共通します。
昨年9月「造血幹細胞移植推進法」が成立したことにより骨髄バンクの法的根拠が出来ました。これにより地方自治体や日赤もこれまで以上に責務を負うことになり、日本骨髄バンク自体も重責を負うことになります。

▼謎に包まれた人体という「小宇宙」の不思議

ここで骨髄移植にまつわる不思議を三つ紹介します。一つは、ドナーの造血幹細胞を患者に移植すると血液型が変わってしまうことです。例えば、患者がO型であったのにドナーがA型だとしたら患者の血液はO型からA型に変わってしまうのです。人の性格まで変わってしまうのか定かではありませんが不思議な現象です。これは、移植された造血幹細胞が新たな血液を造り出すようになるためです。骨髄移植で重要となる白血球のHLA型と赤血球のABO式には関係性がなく、移植にABO式血液型の一致は必要ないために起きるのです。二つ目は、白血球のHLA型はとても魅力的でロマンチックだということです。非血縁者間の適合率はマックス数万人に一人です。兄弟姉妹間では4分の1が適合します。逆に言うと4分の3の兄弟姉妹は適合しません。少ない方の4分の1の兄弟姉妹と同じHLA型が見も知らない赤の他人の中に存在するのです。しかも日本人だけでなく、世界中にとりわけ東アジア一帯に存在するのです。何ともスケールの大きな話ではありませんか。国境を超え、歴史的空間を超えているからです。「ウォリーを探せ!」で先祖が一緒の血のつながった兄弟姉妹をタダで探してもらえるのです。そしてその人を自分が救うのです。奇跡というか不思議な縁というか大いなるロマンを感じざるを得ません。三つ目は、注入したドナーの造血幹細胞がなぜ患者に生着するのか医学的に証明できないことです。人体の神秘性です。人体はまさしく小宇宙の世界で謎に包まれているのです。

▼待たれた骨髄バンクの誕生

最後に今日のテーマである「女優・夏目雅子はなぜ早世したか」の答えです。これまでの話しでお分かりのようにその当時まだ日本に骨髄バンクはなく、夏目雅子さんはその機会に恵まれなかったからです。逝去してから6年後に日本に初めて骨髄バンクが誕生するのです。当時、白血病と言えば不治の病と言われ、治療法がなかったゆえの結果でした。しかし、今、白血病は骨髄移植・末梢血幹細胞移植、さい帯血移植等の治療法で助かるのです。

▼感想

今回は、講演中に意見交換を行うような形式で進められ、具体的な骨髄の提供の方法についての質問等があった。また、同意をしたドナーがいわゆる「ドタキャン」をしたため、前処置をしたまま患者さんが亡くなったという事例については、会場では憤りの声もあがり、意見交換がされた。大変重たいテーマを、加賀美さんがわかりやすく説明して下さり、特に人間の身体の構造には、科学技術が進歩しても未知の領域があることを知り、宇宙のロマンや神様の存在も感じるような内容だった。個人的には、学校の後輩にあたる“夏目雅子”さんが、骨髄移植で白血病をなおされてら今も女優として活躍される可能性があったかもしれないと考えると、大変残念だと思った。今後の骨髄バンクと加賀美さんのご活躍をお祈りしたい。 
参考:日本骨髄バンク ホームページ http://www.jmdp.or.jp/" http://www.jmdp.or.jp/

⑥懇親会RIMG56710
懇親会の様子

加賀美 均(かがみ ひとし)プロフィール
1976年~2008年内閣府管轄の(財)日本広報センターに所属し、政府広報(国内外)を広報部長兼広報部次長として企画立案し映像媒体(テレビ・ラジオ・映画等)を通じて広報活動に従事された。2008年からは、厚生労働省管轄の公益財団法人日本骨髄バンク広報渉外部に属し、公共広告機構(ACジャパン)等による広報活動、日本赤十字社と協働の骨髄バンクドナー登録の実施や経団連加盟の企業に寄付金要請等の活動をおこなっている。

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  • Date : 2013-12-30 (Mon)
  • Category : 三水会
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