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三水会2013年9月講演会 坂本理恵さん

■講演テーマ:国際的な訴訟戦争の最前線に挑む
       —UBIC社の戦略と現状—
■講師:坂本理恵さん(外国学部比較文化学科卒)
    株式会社UBIC コーポレートコミュニケーション担当(http://www.ubic.co.jp/) 
■日時:2013年9月18日(水)18時30分〜21時
■場所:ソフィアンズクラブにて
■参加者数:20名



写真①坂本さん正面写真RIMG53474
坂本理恵さん

坂本さんは、三水会講演会当日、UBIC社提供のFMラジオ番組「グローバルトライ」で、ソフィア・ルネッサンス連続講演会にも登壇した起業家、原丈人氏(アライアンス・フォーラム財団代表)のインタビューを終え、まだ興奮さめやらない様子で来場された。

同番組では世界で活躍している日本人を取材しているが、坂本さんは、「原さんから『起業するのに年齢は関係ない。いくつになっても熱意があれば必ずできる。失敗してもがんばろう』という熱いメッセージをいただき盛り上がりました」と眼を輝かせ話された。齋藤・ウィリアム・浩幸氏(株式会社インテカー創業者兼最高経営責任者)も同社の顧問だという。

グローバルに活躍する著名な起業家と接点の多いUBIC社とはどのような企業だろうか?会社紹介の動画も交えながら、講演は始まった。

坂本さん自身は、米国に長年生活していたが、米国には、良いところも沢山あるが、まだアジアや日本に対する偏見・誤解があるので、UBIC社創業の守本正宏社長の考えに共感し、最近同社へ入社され広報活動に従事されている。

▼UBIC社創業のきっかけ—リーガルテクノロジー・サービスの普及

UBIC社は、今年で設立10周年を迎える。今年5月、14年ぶりに米国ナスダック上場した日本企業として話題を呼んだ。また、同社の守本社長は、自衛隊のキャリアであったが家庭事情で退官され、実業界に入られたという異色の人物である。

同氏は、防衛大学卒業後海上自衛隊を経て、世界最大の半導体製造装置メーカーである(株)アプライドマテリアルズジャパンに転職。在職中に防衛大学の先輩から、リーガルテクノロジー*注1)のサービス分野でのビジネスが、まだ日本にないということを聞き、会社を辞め起業された。「日本企業と欧米企業のリーガル手続における格差を最先端技術によって解消し、世界で公平に戦えるだけの体制構築の支援を行う」のが会社の理念であるという。

*注1)リーガルテクノロジーとは?:「企業を取り巻く様々な法的な問題、情報漏洩や誹謗中傷、詐欺、横領などが発生した場合、その対応を企業は弁護士や公認会計士、犯罪ならば警察に依頼するが、その際に、膨大な電子情報から訴訟に必要な取り扱う専門の技術のこと」である。このことは、まだあまり知られていないが米国と関わる日本企業にとっては大切な分野である。

輝かしい自衛隊のキャリアから米国一流企業へ転職。そしてゼロから会社を立ち上げられ、ナスダック上場も実現された守本社長の熱いメッセージを講演で坂本さんは、次のように紹介した。

「自衛隊出身の守本社長は、日本を守りたいという熱い思いから起業をされ、海外、特に米国で日本企業が不利な状況にならないように、すなわち日本企業が世界で対等に戦えるようにしたいと頑張っている。
UBIC社の理念は、熱意、執念、感動である。それは、『自らを動かす原動力は熱い心です。熱い心なくして何事も成し遂げることはできません。しかし、それは一過性のものでは意味がなく、同時にどのような困難にもくじけず、あきらめない強い執念が必要です。そして成し遂げた時の喜びや発見、自らの大きな成長に感動することにより、初めて周りの人の心も動かすことができるのです』」と。

資料1創業きっかけ紹介
(資料1)創業のきっかけ(クリックで拡大) 


資料2会社概要修正版
(資料2)会社概要(クリックで拡大)

▼米国における代表的訴訟事件—トヨタ、アップル、サムソンも例外ではない

訴訟事件に関係する具体的な企業名は、守秘義務があるため講演では述べられなかったが、最近の有名な事件として、トヨタの製造物責任やアップルとサムスンのデザインをめぐる特許訴訟がメディアではとり上げられた。

「時事通信(3月6日):トヨタ自動車をめぐる『意図しない急加速』問題で、 米下院エネルギー・商業委員会は、5日、急加速に絡む事故データ記録の提出など追加情報開示を要求する書簡を送付した。 トヨタ自動車は追加情報の開示を要求された。」

「日本経済新聞朝刊(8月18日):米アップルと韓国サムスン電子が繰り広げているスマートフォンの特許やデザインを巡る訴訟で、アップルの社外秘のデータやエピソードが次々と公開されている」

上記のような場合、米国当局は訴訟の手続きに企業の情報開示を求める。企業は必要以上に技術的な機密情報まで開示してしまい、後でその企業にとって取り返しのつかない不利益な状況に追い込まれることもあるそうだ。
そのような危険な状況を事前に回避するためにはどうすればよいのだろうか?

▼企業の米国進出は、その瞬間から訴訟の可能性が発生する!

「米国へ進出する日本企業は、訴訟に対して即対応できるよう万全の準備をしておくことが大切である」と坂本さんは強調した。まず、米国と日本の訴訟手続きの違いについて次のように説明された。

[米国民事訴訟の場合]
提訴⇒訴答⇒ ディスカバリ**注2)⇒ 事実審理⇒判決 相互開示する

**注2):ディスカバリとは、訴訟の際に、原告・被告両者が「事実」を正確に把握するためのもので、証拠開示に該当する。

[日本の場合]
提訴⇒訴答⇒公判⇒準備書面の交換⇒判決  証人尋問、最終準備書面



▼「ディスカバリ」には膨大な作業が必要—求められるトラック数台分の情報提出

特に米国の民事訴訟の場合、「ディスカバリ」という証拠開示の手続きは、手間がかかり、事前の対応が不可欠である。企業は、実際の手続きを把握せずに米国の弁護士に一任してしまうと、様々なデメリットがあるという。「ディスカバリ」という手続きには、トラック数台分の情報提出が求められる。

そのような場合、不正データの検索、翻訳、訴訟に関する必要な情報を抽出する効率的な作業のサ—ビスを提供するのがUBIC社だが、米国の弁護士事務所が選んだ日本語のわからないディスカバリベンダーに依頼すると言葉の障害、翻訳代金等の多大なコストばかりだけではなく、特許技術や経営者の電子メールなどの機密情報などの必要以上の情報漏洩などの問題がおきる可能性がある。

 具体的には、現在1台のパソコン(PC)内にあるデータは 2トントラック4台分といわれ、PC20台分のデータ提出を求められると、ゆうに2トントラック80台分という膨大な分量になる。UBIC社はそのような米国での訴訟対策も含めた事前のデータ管理のサービス等も行っている。

会社紹介をする坂本さんRIMG53488
講演中の坂本さん

▼訴訟を察知したら?

また、訴訟を察知したら具体的にどのような手続きが必要なのか、専門的な内容だったが、講演会では詳細にわたって説明された。

資料3訴訟を察知したら
(資料3)訴訟の可能性を察知したら(クリックで拡大)

その際使用されるのが「Technology Assisted Review (TAR:ター))という膨大な文書の分類ができる特別の技術であるが、アジア言語でTARを使えるのは、UBIC社だけだそうだ。その強みを活かし、今後の海外展開を計画している日本企業や、在日の米国弁護士事務所にUBIC社のシステムを紹介している。また、今後TPPが米国主導で行われる場合、このような訴訟手続きも必要になる可能性が予測されるという。
 
 質疑応答コ—ナ—では、守本社長の経歴、具体的訴訟事例や「ディスカバリ」が米国だけの手続きであること等について質問や意見交換があった。最後に守本社長の著書「日本企業のディスカバリ対策」(発売元:日本著作出版支援機構)も紹介された。米国ナスダック市場への上場は、守本社長自らが調査し、周囲の反対もあったが、自分の信念に基づき実行し、内外に大きなPR効果があった。

資料4株式上場(ナスダック上場)
資料(4)ナスダック上場の様子(クリックで拡大)

▼感想

テーマは、米国に進出する日本企業向けの話題であったが、今後の日本企業がグローバル社会で活動する上で、各国の法律の知識は不可欠で、専門的であったが、非常に参考になった。企業の法務問題とは離れるが、日常日本では問題のない行為でも米国では、法にふれる行為とみなされることもあるという話を思い出しながら坂本さんの講演を聞いた。

例えば、幼い子供だけの留守番や、車中に残して親や保護者が買い物に出掛けてしまう行為は、州によっては、児童虐待とみなされ軽犯罪になる場合もある。そのような法律を知らずに現地でトラブルになった日本人家族もいる。いずれにせよ、私たち日本人は、国内の常識が海外で通用するという思いこみを捨てないと、グローバル社会の動きに対応できない。

日本企業は、優れた技術を持っているが、その分海外での法律的対応や情報開示に対して、ネット社会では神経をとがらせないといけない。「日本人は、日頃争いごとは丸くことをおさめようとする傾向があるが、世界では主張すべきことは、対等の立場で主張すべきだと思う」と最後に坂本さんは語った。今後のUBIC社の発展と坂本さんの活躍をお祈りしたい。('77年外独 山田洋子)


坂本理恵(さかもと りえ)さんプロフィール
上智大学(外国語学部比較文化学科)卒業、フロリダ大学大学院国際政治専攻修士号習得。その後、外資系IT関連企業で、学術機関担当マネージャーとして、日本・韓国の教育市場を担当。現在UBIC社のコーポレートコミニュケーションを担当している。また上智大学ソフィア経済人倶楽部国際委員、Dr. Kataria School of Laughter Yogaリーダーもしている。
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  • Date : 2013-11-10 (Sun)
  • Category : 三水会
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