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三水会7月講演会「伸びるサブウェイのマーケティング戦略」庵原リサ氏

三水会 2012年7月講演会
■講演テーマ:伸びるサブウェイのマーケティング戦略
 サントリーが取り組むサンドイッチ革命
■講師:庵原(いはら)リサさん
 日本サブウェイ取締役マーケティング本部長('91文心)
■日時:2012年7月18日(木)18時30分~21時
■場所:ソフィアンズクラブにて
■参加者数:28人

庵原氏正面1
庵原リサさん

 店舗売上高伸び率が飲食業2011年度ランキングで5位、今年度は100店舗の過去最高の出店数を計画するサブウェイ。しかし、かつては客離れの一時期も。食を通しての文化・社会を目指す、マーケティング戦略をお聞きします。

オープニングRIMG29609
講演会の模様

 女性の社会進出、少子化・高齢化社会、年金・介護問題が引き起こす将来に対する不安、健康・安全志向の食生活など、多くの課題を抱える日本の外食産業界は、不況の中で存亡をかけての店舗拡大競争を展開している。

 サントリーは、ビール、飲料水、健康食品にも進出して成功してきた。しかし経営参画に乗り出したサブマリンサンドイッチという外食産業は、20年前の1992年に1号店を東京・赤坂見附で開店したものの、2011年度の店舗売上高では115位のままだ。その中で、売上伸び率は最近上昇している。

 いったい、どこに課題があるのか。2年前にサントリーから出向して取締役マーケティング本部長となった庵原さんに、その悪戦苦闘ぶりを披露してもらった。

▼サブマリンサンドとは

 ネーミングの由来 「サブウェイSUBWAY」の意味はサンドウィッチのユニークな形に由来する。「SUBMARINE潜水艦」のように大きなパン、通称サブに「WAY(道、方法)」を組み合わせた造語。「WAY」には、ひとり一人の好みにあわせてという意味も含まれている。

 白とグリーンの「SUBWAY」というロゴマークを見て、サブマリンサンドと呼ばれる細長の潜水艦型のサンドイッチを思い浮かべる人は、以前は少なかったかもしれない。
特色は店内で焼いたブレッドに、6種類の野菜たっぷりサンド。低カロリーで、すべてのサンドイッチが400カロリー未満になるよう栄養バランスに配慮され、トッピングやドレッシングも、選んで自分好みの味がオーダーできる。

 例えば二日酔いのときにはアボカドとエビのサンドという女性や、血液がサラサラになるように玉ねぎの繊切りをたくさん入れるサラリーマンもいる。

 会場では、ブランドブックというスタッフ用の小冊子が回覧された。(詳細は次のHP参照 http://www.subway.co.jp/brandbook/index.html)

▼店舗数では世界一の外食産業

 日本での店舗売上高は115位のサブウェイだが、外食チェーンの店舗数では世界100ヶ国で3万7千店という世界一の店舗数を誇る。

 庵原さんによると、1965年にアメリカのコネチカット州で、17歳の少年が学費を稼ぐためにお客さんと対話しながら、一人ひとりの好みに合わせてパンにはさむ野菜などの中身を決めて売り始めたのが人気を呼び、世界的な店舗数にまで普及したのだという。

 日本でもサントリーがマスターフランチャイジーの形で経営に乗り出したが、なぜか低迷を続けてきた。そのため、日本人の嗜好に合ったメニューを開発したりして試行錯誤を繰り返してきた結果、この6,7年で急速に店舗数も伸びてきた。2011年度の新規出店数ではサブウェイは8位に入ることができた。

 日経MJ(2012年5月30日)でもとりあげられ、店舗売上率ランキング47.4%で第5位に入り注目されている。米国本社からも20年ぶりに社長が来日した。

外食産業全体・他社のデ―タを見ながら、説明された。
社団法人日本フードサービス協会(http://www.jfnet.or.jp/data/data_c.html)によると外食市場規模は平成9年(1997年)の29兆円をピークに2000年以降、減少しているという。

▼米国直輸入のメニューを日本式に

 いったい何が問題だったのか。

 スタートした92年には多数のフランチャイズの申し込みもあった。しかし機材やメニューは米国からの輸入で、サンドイッチは大きく、米国人好みの味であった。

「唾液の多い欧米人に対し、日本人は唾液が少ないため、米国仕様のパンは食べにくく、リピーターが増えなかった。機材も大きな米国サイズで投資回収が難しいこともあり、不採算店が増えてしまいました。2003年に社長が交代して、日本人に合ったメニューを開発しなければ、と改革に取り組むことになったんです」

 メニューの日本化と共に、国内メーカーの材料にもこだわっている。ローストビーフも北海道の製造業者が手作業でつくったものに切り替えた。

 店舗サイズも米国基準の一店舗40坪から15坪に下げ、投資額も少なくした。パンは国内メーカーと共同開発し、2010年からは日本人の嗜好に合った品質に変更した。

 講演では「92年~97年の導入期・98年~03年の低迷期・04年~09年基礎確立10年以降急成長」という日本サブウェイの歴史が図で示された。

▼野菜中心の健康サンドイッチ

プレゼンRIMG29657
プレゼン中の庵原氏

 特に重視したのはブランディング、つまりマーケティング戦略だ。アメリカでは「ダイエット」(http://www.subway.co.jp/jared/index.html)を前面に打ち出しているが、健康に気を遣い、食べるものの品質にこだわる日本では「野菜を通して日本人の健康寿命を延ばすことに貢献する」目標を掲げることにした。

「若い時から健康に配慮した食材をとるようにし、人生の最後に自分の人生を楽しめるということ、つまりその基本である健康に貢献したい。家族に対して健康に良い食べ物を勧めるのと同じように、サブウェイのサンドイッチなら、堂々と自分の家族にも勧めることができるようにする戦略を立てたのです」

 具体的には使用する野菜は生産者の顔が見える「語れる野菜」を使う。そのために農家との連携を深め、土壌改良にも着目し、また安定供給のための「植物工場」にも注目している、という。

▼植物工場を併設の店舗も出現 

 昨年は30年ぶりの天候不良のため野菜の調達に非常に苦労する事態となった。
こうした事態を避けるため、東京丸ビル店と大阪府立大店の二か所では、野菜を栽培する「植物工場」を併設し、店内の植物工場で取れた野菜を一部提供する「野菜ラボ」という取り組みを始めた。(http://www.831lab.com/)

 『植物工場』は将来的に安定した調達のためにも重要である庵原さんは強調された。

▼サブマリンサンドを試してみて

 いま一番大きな課題は、新鮮で、品質も高く、健康に良いサブマリンサンドをどうしたら多くの人に食べてもらえるかだ。

 来店して、自ら選んだ新鮮な野菜を詰めたサンドイッチを口にしてもらえば、必ずリピーターになっていただけるという自信はあるのだが、いまひとつ、「SUBWAY」に足を運ぶというきっかけがつかめていない。今後の認知度アップ・顧客育成のための具体的戦略が紹介され、DVDの動画「オーダーメード彼氏第1話」も披露された。(http://www.youtube.com/watch?v=4i46D9DCdj4&feature=relmfu)
(現在は第2話も公開中)

オ―ダ―メード彼氏RIMG29692
動画「オ―ダ―メード彼氏」を紹介している場面

「5回以上通う人は固定客になる可能性が高いので、いかに来店してもらい、固定客になっていただくかが課題です。いろいろ試してもらうことも大切なので、日替わりサンドの値下げキャンペーンを長期にわたっておこなっています。今年の2月には『フランスパン工房』とのコラボ企画で、チップ状にしたフランスパンの疑似体験をコンビニでも行い、100万食販売しました。最近はメタボを気にする男性客が残業前に、また女性は合コンの前に軽い夕食としてサブウェイを選んでいる人がいます。とにかく一度いらしてください」


▼質問コーナー

質疑応答RIMG29752
質疑応答の場面

 会場には食事をサブウェイに切り替え10キロ減量に成功したという男性もいて、質疑は盛り上がった。空間を提供しているスタバとの差別化、出店戦略、調理研修法、調理時間の掛け方などに関心が集まった。2012年3月に総合人間科学部心理学科を卒業して入社、店舗で研修中の岡田まり絵さんも参加し、サブウェイサンドイッチを参加者全員が試食した。

岡田さんRIMG29763
岡田まり絵さん

会場サンドウィッチRIMG29756
会場で配られたサンドウィッチ

※ちなみにサブウェイは上智大学内にも出店している。(上智大学ホフマンホール4F)(http://www.subway.co.jp/shops/tokyo/shop268/)

▼感想

 早速、翌日に近所のサブウェイに行ってみた。高校生からサラリーマンまでいろいろな人で混雑していた。「最近の大学生の仕送り金額は、私が学生時代の1987年ごろと同じ額で、家賃・携帯電話等にお金を使い、食事と洋服代を削っているらしい。ゆえに、外食産業は、身体によいものを提供していく必要があると思います」と庵原さんは熱く語った。今後の活躍に期待したい。

 私は売り上げ重視の外資系企業に在籍して、日本法人立ち上げから数年で黒字転換しないと撤退する実態を体験したが、サブウェイは親会社がサントリーで、赤字覚悟で20年かけて一つのブランドを育てる経営手法を具体的に実感できた講演だった。(報告 山田洋子 '77外独)


▼プロフィール
庵原(いはら)リサさん ('91文心卒)
日本サブウェイ取締役マーケティング本部長
サントリーホールディングスに入社。酒類ビジネスに携わる。
2010年4月 日本サブウェイに出向。仕事のかたわらグロービス経営大学院で学び、2012年卒業。
家族は夫と猫。趣味はフラメンコを踊ることとワインを飲むこと。

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  • Date : 2012-09-08 (Sat)
  • Category : 三水会
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