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三水会6月講演会「デジタルカメラでプロ・カメラマンの仕事がどう変わったか?」由利修一氏

三水会 2012年6月講演会
■講演テーマ:デジタルカメラでプロ・カメラマンの仕事がどう変わったか?」
       ~デジタル時代のプロの意識と価値~
■講師: カメラマン 由利修一(ゆり しゅういち)氏('78文新) 
■日時:2012年6月28日(木)18時30分~21時
■場所:ソフィアンズクラブにて
■参加者数:30名

 今回は三水会幹事・黒水さんと同級の由利修一氏の講演。
「僕の知っているかぎりプロのカメラマンになった同級生は、由利さんだけです」といつもより、くだけた雰囲気でスタートした。


正面1「RIMG28326r
由利修一氏(クリックで拡大)


 コンピューターの有効な使い方を知らない人が多く、先進国の中で一歩出遅れた感のある日本社会の構造変化や、若い世代のプロ意識の欠如など示唆に富んだ内容だった。

 コンピューター、デジタルカメラの出現当初から知識を深めてきたプロ・カメラマンの鋭い視点でとらえた社会変化とは・・・
「技術革新で情報発信は容易になったが、コンテンツにこだわるプロ意識が希薄になりつつあることに問題を提唱」、日本の主体性の欠如したサラリーマン化を嘆いた。

▼プロのカメラマンとは?

デジタルカメラの普及、高級化で、だれもがカメラマンになり、写真を撮ることができる時代だ。

 普通のアマチュアカメラマンとプロのカメラマンとの違いはどこにあるのか。

 由利さんの講演は、その違いの説明から始まった。なお、由利さんは「商業カメラマン」。

 「日本語で『上手な人』という意味でも『プロ』という言葉は使われるが、私は、『プロ』とは、『いわば職人で、その職業で食べている人』という意味と捉えている。具体的に言うと、カメラマンの場合は2種類のカテゴリー、『アーティスト(芸術家)』と『プロ』があると思う。『アーティスト』は、ファッションで言うと、服を自らの発想でデザインして創作する人。『プロ』は、『顧客の依頼・オーダーに対して、何でも答えられるオ–トクチュール(オーダーメード)の仕事をする人』であると思う」

 ファッションには高級既製服の「プレタポルタ」があるように、今は「レンタルポジ屋」にアクセスすれば自分が求める写真が安価で選べて手に入る。つまりカメラマンに依頼しなくても、ある程度の画像はレンタルで入手可能な時代だ。

 「それでも、わざわざプロ・カメラマンを雇い、『オーダーメード』で撮影する場合は、プロを使っただけの価値はあると顧客に認めてもらえるような作品、即ち売り上げ成果が期待できるような作品に仕上げて提出しないといけない。逆に言うと、プロ・カメラマンに対する仕事への評価は大変厳しい時代でもある」

会場?エRIMG28299r
講演会の模様(クリックで拡大)

▼プロの仕事

 最近のプロ・カメラマンの仕事には、以前のフィルム時代には無かった合成という仕事が新たに加わってきた。由利さんは、最近、実際に手がけたマンションの広告写真を示しながら、「どのようにして自然に、しかも部屋の高級なイメージを損なわないように、元の画像に手を加えたか」を説明してくれた。

 デジタル処理により細部に施された陰影の調整、窓ガラスの映り込み、夜景と室内のコントラストなど、自然に当たり前に見えるものの裏には、熟練したカメラマンでないと気づかない細かい調整作業があり、参加者は「プロの仕事」に圧倒された。
眺望がよく川辺の花火大会が見えるのが売りの高級マンション広告の事例

HANABI_1_最初のプロトタイプ
1.一番最初のプロトタイプ =>・・・花火が最終版と異なる
HANABI_2_花火+窓に写り込み
2. 商品の部屋が良く分かる様にを明るくしたバージョン =>その分外が暗くなり、ガラスの写り込みがうるさい
HANABI_3_完成花火+夜景色
3.最終版これが採用になった。 =>部屋も明るく、なおかつガラスの写り込みもなくした
※上記写真いづれもクリックで拡大可
※素材協力:二子玉川ライズ タワー&レジデンス


「合成という作業は、頭の中で、最初から影などをきちんと想定していないとできないし、当たり前のことが当たり前にしか見えないようにするので、『成功すれば誰にも気づかれず、失敗すれば大避難を浴びる』ことになるので、絶対に手の抜けない作業です」

 このように編集後の完成品を想定し撮影をする技術は、30年間に渡って自らが撮影した経験と、その膨大なデータを管理しあらゆる作品に対応できることにあるという。

 今まで手がけた様々なジャンルの写真の中から、ファッション系では、「国内の海外ロケが大得意」と笑いを取って、海外ロケでの多くの経験を活かした雰囲気のある国内撮影のファッション写真を説明。最近ニュースになったヒッグス粒子研究にも日本の法人で優秀な学者が多く参加している高エネルギー加速器研究機構(KEK)の写真など、また、人物では、自然な表情・ポーズを捉えた日本のノーベル賞受賞者達や、人文学者の写真について説明があった。

▼何に対しての報酬か?

 フィルムの時代は、一枚の写真を撮るためには、かなりの手間がかかった。デジタル時代の今は、簡単に何枚も撮影ができる。その違いが影響しているのか、プロの世界でも、仕事に対する受け止め方、「何に対しての報酬か」という考え方が、評価の違いとなって表れている。

 「私の場合、例えばある雑誌の顔ともいえる表紙のための写真1枚に対しての報酬(法律的な一時使用)という考えで仕事をしているので、一番良いと思う最適なデータを複数枚、雇用者(出版社)に渡したいのだが、なかなかそうもゆかない。なぜなら、若い世代の仕事の対価は1日何時間労働という労働時間に対しての報酬という意識づけがあり、撮影したデータをすべて雇用者に渡してしまう。プロとして写真に対するクオリティ、意識の違いがここにある」

 「問題は、今の雇用者側が、若い世代に課している方法が当たり前と思っている傾向にあるので、『なんで、データを全部渡してくれないのか?』と、言われることが度々ある」「テレビ業界でも、ポスプロなどの下請け制作会社の労働対価にも似たような傾向があるようで、国の文化がつぶれるような危機感を感じている。デジタル産業革命がおこり、社会構造が変化しているが、各業種で、各人が自分なりの価値観をもって、より質の高い仕事を目指さないと職を失う労働者が増えるだろうと思う」と語った。

▼あいまいな著作権、肖像権

 そもそも、憲法21条に保証されているように、それを公表するか、しないかは、表現の自由に保証されたカメラマンの権利であり、撮影した全データの著作権はカメラマンに帰属している。従って雇用者側は、カメラマンが撮って提出した写真の使用しか許されず、「一番良いデータだけの提出理由を説明するたびに、逆に『うるさいおやじ』のように思われることが残念です」

 しかし一般には、著作権や肖像権の問題になると、その定義がはっきり認識されていないということも事実だという。

 「現在は、世の不条理と向かい合いながら仕事をしているが、今後の日本社会では、海外のようなはっきりした契約制度下で、カメラマンも仕事ができるようになればよいと考える」


▼日本社会のデジタル化が遅れた原因は?

 「出版業界にデジタル化が始まったとき、本来出版社や印刷業者がデジタル化のけん引役となってもらうところを、当時はその意識が低かったようだ。これは、現在でも日本のデジタル化が、先進国の中でも遅れをとってしまった一因になっているように思う。また、政治家がコンピューターの有益な活用法を理解しようと努力していない現状を見ると、日本の今後に危機感を感じる。 『日本のコンピューターは2位ではなく世界1位でなくてはいけない』と言って欲しかった」


『質問コーナー』


▼肝心なのはイメージ、編集・構成力

 「質問コーナー」では、データの管理法など、いろいろな質問が出た。

 カメラマンになりたいと思った背景やプロとアマの違いについて、次のように由利さんは語った。

 「高校生の時からカメラマンになりたいと思っていたが、美大や専門学校ではなく、家庭の事情から上智大学に入り、学生時代から写真部に属していた。絵画と異なり、カメラは眼と勘がよければ、アートする技術なので、写真のほうが簡単に作品を創り上げられると思ったからだ。しかし、そんなに簡単なものではなく更に写真そのものよりも、後に起きたデジタル技術革命で苦しいことになる。現在では、プロも一般の人もデジタルカメラのおかげで、同じ土俵にいるが、プロは、どんな悪い環境下でも70点以上の仕事をしなければならない。

 学生時代、写真部で『写虚派』という派閥を立ち上げ活動していた。

 写真は真実を写さない。また事実を撮っていても、撮影者の心理を反映させているだけのものである。肝心なのは、プロは、どのようなメッセージを発信したいかを、撮影時に明確にイメージすることができ、それを編集・構成力によって完成品として表現することにある」


懇親会RIMG28347r
懇親会にて(クリックで拡大)


▼感想

 プロのカメラマンの視点からみたデジタルカメラの登場による社会構造の変化について、奥の深い講演であった。会場から、カメラの新製品についての質問もあったが、「僕は、カメラ屋さんの店員ではないので、全ての製品については意外と知りませんが、自分の使うカメラにはものすごく詳しいですよ。プロのカメラマンはどういう絵にこだわるかで勝負している」と笑いを交えながらも、ばっさり。

 「日本全体がサラリーマン化している」という言葉が印象的だったが、実際はサラリーマンも以前と違い、安定した職業とはいえないし、一般業務もデジタル化によって、ひとり一人が仕事の内容を考えて、レベルを上げ成果をだしていかないと厳しい時代になっている。

 また、印刷業者や出版業者のブラックボックス内の作業工程だった編集等の作業も、今は、デジタル化によって一般にも間口が広がった。作業が希薄化する一方、だれでも、編集者や制作者として、やる気があれば仕事をすることができる時代でもあるが、内容(コンテンツ)の質がますます重要になるのはいうまでもないだろう。由利さんの今後の活躍を期待します。(レポート:山田洋子 '77外独)


プロフィール
由利 修一(ゆりしゅういち) ('78文新)
卒業後、青山エイワイスタジオを経て、立山敏雄氏に師事、
1983年に独立、プロのカメラマンとして活躍されている。
URL:http://www.redbullyuri.com/

今までの主な仕事:
文化出版 "So-en"、中央出版 "Marie Claire"、光文社"Classy""J.J."
SANYO " THE SCOTCH HOUSE / SOLEIL " 等
King "PINORE"、ミカレディ"Roberta di Camerino"
Cecile "C'est La Vie"、東京ダンケ "S・mile"、WORLD "adabat"
サンスタ-"GUM" 歯周病キャンペ-ン、第一勧銀ポスタ-、
Johnson & Johnson "baby lotion""One Day Acuvuw"
ヘレンカ-チス "FINESSE" 雑誌広告、
新日鉄PR誌 "Nippon Steel Monthly"、東京ガスPR誌、
東武デパ-ト新聞広告、ポスタ-、ACTUS
JR東日本 "秋のキャンペ-ン"、"東京GranSta"
岩谷産業 "カセットコンロ"多種パッケージ・カタログ・ポスター
国立情報学研究所"NII Today"、総研大ジャーナル、JST News
高エネルギー加速器機構パンフレット"Quantum" 等
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  • Date : 2012-07-16 (Mon)
  • Category : 三水会
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