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三水会1月講演会「料理研究家の仕事とは」濱田美里氏

■講演テーマ:「料理研究家の仕事とは」
 料理研究の道に入った理由と中国の薬膳料理の学びから、食の研究家としての想いとは?
■講師:濱田美里(はまだみさと)さん(‘99年文英) 料理研究家
■日時:2012年1月18日(水)18時30分~21時
■場所:ソフィアンズクラブにて
■参加者数:30名

濱田美里さんは1977年広島県の瀬戸内海の小さな下蒲刈島の生まれ。1999年上智大学文学部英文科卒業。大学在学中から、世界を旅して、それぞれの土地の民族料理を食べ歩きながら台所をのぞく。2003年初の本「簡単!びっくり!炊飯器クッキング」(主婦と生活社)を出版後、様々な料理本を手掛ける。2008年、北京中医薬大学日本校、中医中薬専攻科卒業。国際中医薬膳師、国際中医師A級の資格を持つ。テレビ、雑誌、ウェブ上でのレシピやエッセイの掲載、また講演会なども行っている。2012年1月13日にはNHKの人気番組「キッチンが走る」に俳優の杉浦太陽さんと出演して、群馬県昭和村の開拓村の郷土のそばと大根、塩、こうじを使った即興で創った独自のレシピを披露した。(NHK HP:http://www.nhk.or.jp/kitchen-wagon/archives/index_archives120113.html

正面RIMG18456
(写真:濱田美里氏)

 濱田さんは和服姿で登場。自分がなぜ料理研究家になったのかの背景と料理研究家になってからの転換期の状況を話してもらいました。

▲ 料理人と料理研究家との違いは?

 料理人とは、料理を食べてもらうことが仕事です。一方、料理研究家とは、レシピを創ったり、商品開発(マーケティング)をしたり、フードコーディネーターとして、調理器具や食事のためのグラスやお皿のセッティングにも注意を払い、雑誌や本を出版し発信していくことが仕事です。

 以前はレシピを創るには、4人分を想定した作り方でしたが、最近は2人分にと変わって来ている。30代から50代の女性で、自宅で料理するという人たちが少なくなってきていることによる。料理に興味が無いと言うことでなく、現代社会の便利さがその理由のようです。

 料理の基本は “だしとソース”にあるが、これはスタイリングと言って、料理のセッティングの仕方によっても料理の感覚が全く違う。そのようなことを私は料理本で述べてきましたが、最近は本よりもインターネットで料理のレシピを見て作る人が多くなってきています。

 日本は、地方地方でその伝統の味と料理方法が違っています。なぜ、伝統料理が続いているのかを知るためには、地方へ訪れた時には必ず、市場やスーパーへ行って、どのような食材が売られているのか調べることにしています。

▲ 異文化を知るにはキッチンの中へ

 働きすぎで、5年前に健康を害しました。その時、私は医師に音楽が好きであることを話したら、「音符にばかり、注意を払わず、休符にもっと注意を払った方がいい」と言われて、休符にプライオリティーを置くようになってから、苦行と祝祭、労働と休暇のバランスを取る生き方に変えて、精神的に楽になりました。

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(写真:教室の様子)

 大学時代はアルバイトをして稼いだお金で、夏休みに世界旅行をすることが大好きでした。
特に大学2年生の夏休みにタイのバンコックの市場で、卵から孵化するような状態の卵料理を見て、カルチャーショックを覚えました。

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(写真:タイ市場)

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(写真:タイ 孵化状態の卵料理)

ニューヨークでは、ホームステイ先で玄米食によって肌がキレイとなることを知り、料理の面白さを発見しました。また、ラオスではウエストでしぼるスカートのラインを現代的でないと勝手に判断していたら、その概念はまちがっていて、独自伝統の衣類への美意識も料理を作る文化の重要な一旦であることを知る機会になりました。

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(写真:ラオス)

ケニアでは、とうもろこしの粉のウガリの文化に触れて、異文化を知るには、キッチンの中に入るのが最善の方法だと発見しました。

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(写真:アフリカ)

 大学4年の時、将来どのように生活していくのか悩みましたが、料理研究家として身を立てることを決心しました。その具体的決心はあるレストランでライブの料理のイべントを企画し、実行したら、手応えを感じました。その後、私の名刺と料理の写真を持ち歩いて、自己宣伝を始めていたら、集英社の編集者の方から、声をかけられ、料理研究家の道を歩むようになりました。


▲ 季節に合わせた料理が健康の源

 5年前に私が体調不良に陥ったときに、限られた食材を工夫する昔の知恵に触れ、日本の郷土料理こそ食と健康の源と悟りました。竹の中に灰のあくを入れ、お米を炊く鹿児島料理とか、ミヨウガのお寿司やおからのお寿司の高知料理とか、日本各地の郷土料理を探す旅を続けながら食と健康を考えています。

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(写真:鹿児島)

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(写真:高知)

 その原点になったのが、中国の陰陽五行の思想でした。季節に合わせた食事は、体の健康のために理にかなっています。

五味五性と調和(黒白)
(図:五味五性と調和:クリックで拡大)

 図(五味五性と調和)に示されているように、季節によって、味と内臓が受け付ける食材がバランスよく伝統的に使われてきました。そこに健康の維持に気を配ってきた人間の深い知恵があったわけです。

五味五性と調和(表)
(表:五味五性と調和:クリックで拡大)

 例えば表のように、かん味が腎臓に良いとは言っても、あまり塩辛いものを取りすぎると、心臓に悪くなるという相克関係になります。その相関関係が下の図の中の→(矢印)で示されています。

五味五性と調和
(図:五味五性と調和の相関関係:クリックで拡大)

 特に夏の暑い時には沖縄のゴーヤが理にかなった食べ物で、梅雨時期には、とうもろこしのひげが利尿作用を強化し、皮のある果物は皮ごと食べるのが、健康に一番という具合です。
このように日本の郷土料理には、健康を維持するための人間の深い知恵があったのです。

プレゼンRIMG18486
(写真:会場でのプレゼンの様子)

▲ 感想:

 濱田さんは、会場に食の持論を展開する美しい和服姿で現れました。物静かな語り口で、料理研究家へのモチベーションと動機付け、食と健康との仕組みを理路整然と話され、1時間半があっという間に終わってしまいました。講演の後の質疑応答でも放射能と食の問題など質問が絶えず、日本人の食と健康を考える上で刺激の強い講演でした。
(報告:松村裕幸―1970年外・ポ、山田洋子―1977年外・独)

松村さんと懇親会RIMG18513
(写真:懇親会での濱田氏(右)と筆者松村)
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  • Date : 2012-02-18 (Sat)
  • Category : 三水会
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