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特別寄稿「サルデーニャでアニメの日本文化論」

「イタリア(サルデーニャ)でアニメによる日本文化論を講義」
サッサリ大学政治学部客員教授 横山俊樹(1974院・経)


横山俊樹氏 私は、縁あって現在イタリアのサルデーニャ島のサッサリ大学で日本文化の特質について学生に講義をしている。 日本では、サルデーニャ島と聞かれてもシチリア島とコルシカ島にはさまれた九州ぐらいの大きさの島と答えられる方はそう多くない。サルデーニャ島には、哀しいかなコルシカのナポレオン、シチリアのマフィアのように即想起できるシンボルもない。しかしソフィアンならしばしの沈黙の後、あっピタウ先生(元上智大学長・教皇庁教育省事務次官)の故郷だ!という返事が帰ってくるかもしれない。島内で苗字の最後が母音ウを持つ方々は、一般的には土着でラテン語からイタリア語を経ずに直接分岐したサルド語が母語といったあんばい。島は、昔からイタリア本土はもとよりカルタゴ、フェニキア、スペイン等と交流があった関係から苗字の起源もまちまちで、デズロという町で私を歓待してくれた家族は、コルテスという南米の征服者と同じスペイン姓を持っていた。 私は、かつて大手広告代理店で国際広告マーケティングに従事していたが激務から病気になり退社した。健康を回復したらこれまでの経験を生かし、マーケティングにおける文化論についての連続講座を持ちたいものだと常々思っていた。マーケティングとはと一言で言えば消費者分析のことで、研究手法としては従来の個人の心理プロセスの研究から最近では社会文化的な文脈重視の研究に変ってきている。つまり文化史を踏まえた現在文化の解釈が必須なってきている。 アニメの源流-絵巻からの日本文化論 私を迎えた大学は、サルデーニャ島の第2の都市(人口20万人)サッサリにあり、学生は2万人。唯一の産業は、大学でしょうか。 私が、大学就職のためローマから面接に訪島した時、サルデーニャ土着人のプディヌ教授(サッサリ大学政治学部)が駅まで迎えに来てくれた。彼は、ビックリするほどの碩学でした。日本の思想家では、横井小楠が傑出しており、その著「国是三論」をイタリア語に完訳したということでまず私の度肝を抜きました。さらに神道に関する著作、世界的な冒険家が明治初期の日本を漫遊した際の日記をロンドンで発見したことなど、それは初めて聞くことばかりでイタリアの象牙の塔の高さには驚嘆。彼は、「この島では、総合大学は南部の州都カリアリとここ北部サッサリだけだ(1000校近くも大学がある日本と違いイタリア全土で40校ぐらい)。イタリア政府は、教育に金を使わない。イタリアには、職のないインテリが山ほどいて皆な教授職をねらっている。この大学からは、イタリア大統領を2人輩出してノーベル賞受賞者もいるんだよ」と初対面から厳しい言葉でした。私は、はたして面接に受かるのかと心配していたところ昨年夏正式に客員教授としてオファーを頂き、「日本文化の特質について」、1クール16回イタリア語で講義をすることになりました。 最初の授業は、学生を前にイタリアと日本の交流史から入りました。天正遣欧使節で著名なヴァリニャーノ巡察師の後輩でスピノーラ神父が和算の基を築いたとか、外人墓地に眠っているマントヴァの太守の子孫ゴンザガ侯爵のこととか、靖国神社のミュージアムである遊就館の原型は、カペッレッティの創建によるとかを講義しました。また最近の日本では、サッサリの住民をサッサレ-ゼというように、白金という高級地域の住人はシロガネーゼというほどイタリア語の感覚が喜ばれて、頻繁にショップネーム、ブランドネームに使われているといった調子で話しました。 イタリアでは、学生達が日本文化への興味を持つようになったきっかけを聞いてみるとやはり日々テレビ放映されている日本のアニメが多いのに気がつきました。そこで私は、講義の中に?日本アニメの隆盛の必然性について、?日本人は表現主義的な絵画への嗜好が強いこと、?絵巻物という映画的モンタージュの伝統があったこと、?言葉で体系化しにくい思想を表現する手段として漫画を利用してきたこと、?未来技術への鳥瞰図としての役割も担ってきたことを、『鉄腕アトム』、『銀河鉄道999』、『ドラえもん』などといったイタリアでもっとも知られた日本のアニメを例に、『信貴山縁起絵巻』、『鳥獣戯画巻』などの源流にも触れながら解説しました。サルデーニャが、同じ島国として大成功した日本になにかと共感を示す原因となっているのも、オリジナリティはすべて大陸からという文化源流一元論への反発かもしれません。そしてそのオリジナリティの具現化されたもののシンボルが、彼等にとってはまさに日本アニメなのでした。私の講座のルポルタージュが、「サッサレーゼ」というコミュニティ紙に掲載されました。これを読んだ限り、「日本はお隣さん」有難う。辛抱強かった真面目な30人の学生よ、私の日本文化の特質について接続法と条件法は、アニメの力を借りたこと間違いはなかったようだ。(コムソフィア2007年5月12日号より)
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