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ドイツの代替エネルギーの現実

ドイツの代替エネルギーの現実
  元ドイツ国際放送記者、吉田慎吾('60文新)=在ケルン=

□ドイツを旅行して眼を引くのは丘の上、海岸のいたるところに立つ風力発電の巨大な風車だ。きれいな空気の田舎を歩くと、すれ違うトラクターからてんぷらを揚げるにおいがする。これはジーゼル油に菜種油の加工品を混ぜた燃料から出ている。ドイツは代替エネルギーの先進国に見える。だが先の原発の記事で私は『ドイツの代替エネルギーの開発はまだ十分ではない』と書いた。これは発電に関してである。問題は代替燃料をどこにどう使うかだ。

▼ガソリンにバイオ加工のエタノール

□自動車や家庭で消費するエネルギーでは代替燃料の利用率は高い。いろいろな統計を好き勝手に使う傾向がある土地柄、どの程度信用できるか知らないが、ドイツはエネルギー消費の50%前後を代替エネルギーでまかなっているという人もいる。これは車や暖房の燃料も含めた場合の統計数字だろう。自動車社会のドイツではハイオクタンのスーパー・ガソリンにバイオ加工のエタノールを5%混ぜて使っている。最近政府は混ぜ物を倍にしてE10スーパーとして売らせようとした。ところが旧式の乗用車ではこんなガソリンを入れるとエンジンが壊れるとか、純ハイオクのガソリンの97%しか効率が無いので同じ距離を同じスピードで走ると燃費が悪く、余計にガソリンが必要になるといって、ほとんどのドライバーはこれを忌避している。

▼未来の話の電気自動車

□電気自動車の生産はまだ日本のほうが元気だ。BMWやポルシェ、ベンツ、アウディなどはカー・サロンに出展してはいるものの、路上ではハイブリッドをたまに見かける程度だ。逆にドライバーたちの間では電気自動車への関心が実に高い。ただ電気自動車でアウトバーンを高速で長距離走るのはまだ難しいように思える。どんな坂道でも時速160から180kmで楽に駆け上がれないと満足できない私らにとって、電気自動車は未来の話だ。

▼増えている太陽発電

□ドイツは夏場は朝4時ごろから夜は10時近くまで明るいので、太陽発電は比較的有利で、人気がある。これで蓄電技術が進めばもっと普及するだろう。ドイツでも太陽電気の剰余分を電気会社が買い上げているが、日本ほど値は高くない。しかし公共の建物をはじめ集光パネルを載せた屋根が最近目立って増えている。これは家庭電器用品での利用のほかに暖房や温水供給にも使える。最近は石油の代わりに天然ガスの利用が増えたが、太陽電気ならドイツでしばしば発生するガス爆発の危険も無いしCO2も出さない。ただし設備費が高いのが玉に瑕だ。

▼風力発電は6%、バイオマスは4・6%

□とはいえ太陽発電は発電量全体のまだ1,9%(2010・ドイツエネルギー機関denaの統計から。以下同じ)と少ない。他方、風力発電は6%、バイオマスは4,6%と利用度も高い。山の少ないドイツにも水力発電がある(4,2%)。高い土地から湖に水を落とす方式のほかに、幅の広い、例えばライン川の一部をせき止めて落差を作り発電する方式もある。また、家庭ごみを燃やしてその熱で遠隔暖房をする傍ら発電もして、地域に電力を供給しているところもある。

▼雨水を貯めてトイレの水洗に

□エネルギー問題を語るには節電、蓄電、蓄温の技術を同時に考えねばならない。ドイツの電気洗濯機は全自動で30度から90度まで温度を調節でき、新型になるほど電気と水と洗剤を節約する。水道料金が下水道利用料金とリンクされ、おまけに自宅の屋根に降る雨水まで下水料金に含まれるところでは雨水を貯めてトイレの水洗等の用水に使う。ドイツ連邦議会の建物など新しい大型の建物では熱交換器を使ったり、ガラスをふんだんに使い外光を採り入れてエネルギーの節約を図る。また建物の外皮に断熱材を貼り付けて室内の温度が逃げたり、外部の熱が室内に入らぬようにすることを政策として奨励している。

▼現況改善は遠く険しい道

□全体でエネルギー消費を減らし、クリーンな代替リソースを使って発電した電力を利用することが目標になっている。そうすればCO2の排出も削減できる。でも代替エネルギーの現況を改善して化石燃料と原子力による発電に替えてしまうにはまだ遠く険しい道を克服せねばならない。ひまわりの花を掲げて『原発・ナインダンケ(ノーサンキュー)』と叫ぶだけでは解決は得られない。(了)


吉田慎吾氏略歴
新聞科を卒業後、上智大学大学院西洋文化研究科に3年間在籍。その後、ベルリン自由大学でジャーナリズム学を学び博士号を取得。69年から2000年までケルンのドイツ国際放送局「ドイツ・ヴェレ」で放送記者。2004年、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世からグレゴリオ勲章を授与される。
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