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放射能のひみつ

BOOKS:「放射線のひみつ」中川恵一著(朝日出版社)
2011年6月5日

東日本大震災で引き起こされた大地震と津波によって、福島第一原子力発電所は致命的なダメージを被り、未だ予断を許さない状況が続いている。それにもまして、原発の爆発による放射能の撒き散らし事故について、様々な憶測が飛び交い、国民はすでに、安心して食事をしたり、外に出たりすることもできなくなってきている。

その大きな原因のひとつは、原発事故による放射能漏れの正しい情報を、国がわかりやすく説明できていないことと、そして、我々自身も正しい知識に乏しいということによる。

私は、放射能の専門家ではないが、事故直後からテレビで流れだした「ベクレル」や「シーベルト」などの専門用語の正しい使い方に興味を持ち、事故当初から、自身で「ベクレル」(放射線量)から「シーベルト」(放射線量が人体に与える被曝量)に換算できるAndoroidスマートフォン用アプリを制作・リリースしている。(アプリについては最後にリンクがある)

一番不思議なことは、あれだけ「放射能が毎日漏れ続けている」とか「次期に人体にも影響が出てくる」と言っておられる方々が、毎日、普通に空気を吸い、食事をし、屋外で活動されていることである。本当に放射能が我々の住む関東にも連日飛来しているのなら、我々も至急避難せねばならないはずだ。そこは、信用していないはずの国からの指示をまっているというのだろうか。国民の混乱は極度に達している。

たまたま書店で入手した東大病院の中川恵一氏が書かれた「放射線のひみつ」(朝日出版社)がとてもわかりやすく、かつ頼りになる説明だったので、この本を参考に、今回の原発事故での我々の心構えについてまとめたい。
紙面の都合でかなり要約しているため、詳しくはぜひこの書を読むことをおすすめする。(記事のタイトルはあえて放射能のひみつとした。書籍名は放射線のひみつである。その理由は下記に抜粋した)

放射線のひみつ放射線のひみつ
中川 恵一 寄藤 文平

朝日出版社 2011-05-27
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■放射線が人体に与える影響の考え方

この書では「(今回の事故の)放射線が人体に与える影響」についての重要ポイントがまえがきにわかりやすくまとめられている。


  1. 今回の原発事故による「放射線被曝」(被爆ではなくて被曝である)は、原発付近で一度に大量の放射線にさらされている方々を除き、一般公衆にがん患者の増発を引き起こすことは「ない」


  2. 放射線汚染を恐れ、政府や自治体が出荷制限などをしていない野菜・魚・水までも控えてしまうことは、かえって「健康被害」をもたらす


  3. 放射線被曝という言葉だけが独り歩きして、X線治療やCTなどによる検診を控えることは、がん早期発見などを遅らせる要因となる


  4. 放射線に対する正しい知識を欠いたままでは、放射線への恐怖・懸念・ストレスを増すばかりである。


では、書籍のほうで「言語と単位」「放射線を正しく怖がる」「ニュースから読み取る」の3章に分かれているものの中から、私なりに最重要であると思われる事柄を抜粋する。

■放射線に関する言語や単位について

◎原子爆弾で被った健康被害は「被爆」、これは日常では起こりえないこと。それに対し、今回の事故による健康被害は「被曝(被ばく)」、これは日常的に被っていること。これに対する免疫力は、数千年の生物の進化の過程で誰もがある程度持っている。

◎ロウソクを「放射性物質」とすると「放射能」は火がついていること、「放射線」はその火の明るさを表す。

◎「ベクレル」はロウソクの炎の大きさ、「シーベルト」は炎の明るさを表すので、ベクレル値が大きくなれば、もちろんシーベルト値も大きくなる、が、いくらベクレル値が大きくても、ロウソク(放射性物質)そのものが遠くにあれば光は届かないと同様、人体に与える影響も少なくなる。(これを確率的影響という)

◎「10ミリシーベルト」と言われても、「ある時間あたりの放射線の人体への影響力」の意味と、「ある期間で積算した放射線の人体への影響力」の2通りがある。人体へ影響があるとされる年間100ミリシーベルトは積算値。365日と24時間で割ると、毎時11マイクロシーベルト。11マイクロシーベルトを24時間365日浴び続けると100ミリシーベルトになる。(現時点では放射性物質の半減期や人体の代謝を考慮すれば、生活圏内でこのような状況は存在していない)

■放射線を正しく怖がるには・・・

◎年間100ミリシーベルト被ばくするとがんが原因で死亡するリスク値が最大で0.5%上昇するとされている。これを元に日本人のがんによる死亡率を計算すると、普通に生きていて33.3%の日本人ががんで死亡するとされるため、100ミリシーベルトを年間浴びると、がんで死亡する確率は33.8%となる。ちなみにタバコによるリスクは、吸わない人より1.6~2.0倍がん発症の確率が増大するという。通常のがん死亡率33.3%が66.6%(2倍)になるためには、年間で2シーベルト(2000ミリシーベルト)ほども浴びなければならない。現状では、タバコによる健康被害のほうがはるかに大きいことを理解しておく必要がある。

◎我々は毎日「被ばく」し続けている。それを「自然被ばく」という。日本では年間1.5ミリシーベルト被ばくしているという統計(世界平均は2.4ミリシーベルト)。宇宙空間に出る宇宙飛行士は1日約1ミリシーベルト被ばくする。宇宙飛行士は180日以上は宇宙空間に出てはいけないことになっている(180日滞在すると180ミリシーベルト被ばくするから)

◎富士山の山頂は地上の約5倍の放射線が降り注いでいるそうだ。ということは、富士山山頂で1年間生活をすると年間6ミリシーベルト被ばくすることになる。乳児の被ばく暫定値2.5ミリシーベルト(通常の1.5+1ミリシーベルト)は軽く越す値である。

◎また、東京~ニューヨークを飛行機で往復すると0.1ミリシーベルト被ばくする。乳児とともに東京~ニューヨークを年間にたった10往復するだけで、年間1ミリシーベルトに達してしまうので、飛行機のほうが用心すべきである。

◎以上は外部被ばく。内部被ばくで考えると、人間の体内には常時200グラムのカリウムが存在し、この一部が放射性カリウムのため、常時4000ベクレル内部被ばくしている。これは年間0.29ミリシーベルトの内部被ばくを引き起こしている。ちなみに甲状腺がんの治療には「局所被ばく」(等価線量)として3.7ギガベクレルの放射性ヨウ素を口から飲み込んでもらうそうだ。100グラムだとすれば、これは8万1400ミリシーベルトに相当。これだけのものを飲み込んでも、甲状腺の局所被ばくとなり「全身被ばく」(実効線量)とはならず、人体への健康被害は当然ない。(筆者が計算)

◎我々が注目しなければいけない放射性物質の大量放出は、3月15日の福島第1原発2号機の水素爆発がすべてである。このとき放出された放射性物質が、花粉のように空気中に散布され、各地に飛来している。これらの放射性物質が、様々な食物や土壌に付着して、未だに放射線を放っているということだ。

■放射線被ばくについてニュースから読み取る・・・

◎現状で、放射線被ばくによる健康被害で気をつけなければならないことは、がんの発症のみである。そして、各地で観測される大気中の放射線量は下がり続けているので、大気中の放射性物質による直接の被ばくよりも、大地に染み込んだ「大地からの外部被ばく」土壌や海水の放射性物質を採り込んだ野菜や魚介類を食べて体内に取り込まれる「内部被ばく」に気をつけなければならない。そうなると、問題となる放射性物質は「ヨウ素131」「セシウム137」「ストロンチウム90」の3種類のみである。このうちヨウ素131は半減期が8日なので、短期間に大量の被ばくを受けなければ問題にならない。セシウム137は半減期が30年、ストロンチウム90も29.1年なので注意が必要だ。

◎まとめると、現状で、避難区域に指定されていない場所での生活で、これから健康被害がでることはあり得ない。(これを確定的影響と言うそうだ)これは現状の放射性物質の量では、全身被ばくで健康被害を受けるほどの量に達していないことを意味している。我々が心配しなければならないのは(確率的影響)即ち、がんを発症する確率のわずかな上昇である。通常の33.3%が33.8%になるかならないか、これは年間の被ばく線量が100ミリシーベルトに達するかどうかということである。著者は、そのことを「いつ、どこで、どんなものが、どの期間に」を注意深く見守ってゆくことだと書いている。ここには「どのくらいの量」という言葉は入っていない。つまり、数字だけでは、我々に健康被害を及ぼす可能性はわからないということである。

◎5月1日に海江田経産大臣が参議院予算会議の席で「毎日154テラベクレルの放射性物質が発散されている」と発言したということで、3月15日以降も放射線量が各地で増え続けているのではないかという疑問を抱くのである。もし仮に増え続けているとすれば、1キログラムあたり154テラベクレルのものが、例えば雨として関東に降り注いだと考えてみると、放射線量を持つ水滴約1ミリグラム程度が各地で増え続けているとすれば、(放射性セシウムだとして被ばく量を計算すると)2926ミリシーベルトの放射性物質が増え続けていることになる。しかしそのような大きな線量が確認されたことは、未だかつて発表されていない。即ち、3月15日の大量放出に比べると、数値こそは大きく聞こえるが、取るに足らない程度のものになって飛来していると思われる。(筆者が計算)これは著者が言うように、「いつ」「どこで」「どんなものが」「どの期間に」計測されたかを詳しく把握しなければ、我々の身体に与える影響の度合いはわからないということの例ではないだろうか。

■放射性物質は永遠に残る・・・

以上、ダイジェストで紹介させていただいたが、私が理解したことは、今回の原発事故による放射線被ばくによる健康被害は、大きく見積もってもがんの発症率を0.5%高める程度のものではあるが、今後数十年、発症率が高まる可能性がずっと続くということである。高まることにわざわざ足を踏み込まぬよう、自己責任で正しい情報を入手してゆかねばならない。
文:土屋夏彦('80理電)


(ベクレル~シーベルト換算値)※公益財団法人原子力安全研究協会が運営するHPより抜粋
http://www.remnet.jp/lecture/b05_01/4_1.html
半減期経口吸引
(ヨウ素)I-1318.04日2.2×10-87.4×10-9
(セシウム)Cs-13730.0年1.3×10-83.9×10-8
(ストロンチウム)Sr-9029.1年2.8×10-81.6×10-7
(プルトニウム)Pu-2392.41万年2.5×10-71.2×10-4

(例)
1キログラムあたり200ベクレルの放射性セシウム(Cs-137)を1キログラム経口した際の被ばく線量(シーベルト)は?

200 × 1.3×10-8 = 2.6μSv:マイクロシーベルト(0.0026mSv:ミリシーベルト)

※放射性セシウムは摂取すると甲状腺に集まりやすく、甲状腺がんの元になるとされるため
上記200ベクレルが摂取の基準値となっている


BqConverter_g2.jpg
私が4月にリリースしたAndroidスマートフォン用アプリ「ベクレルコンバーター」
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