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【スペシャルインタビュー】瀧澤正上智大学長に聞く(3/3)

この4月に上智大学の第14代目の学長に就任された滝澤正氏に、学生時代の思い出から、上智に来られた理由、そして学長就任後の心境や活動など、多岐にわたってお伺いしました。

第14代上智大学長 滝澤正氏 インタビュー
日時:2011年4月20日
場所:上智大学学長室にて
聞き手:横川和夫('60文新)、土屋夏彦('80理電)


(~ スペシャルインタビュー(2)より続く)

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▼看護学科、大阪サテライトキャンパスがスタート

…… 4月に学長に就任されて、具体的に動き始めていることはありますか。
…滝澤学長 4月から聖母学園と法人合併して、看護学科が上智にできた。これまでの上智では考えられないような実務直結の学科ですので、既存の学科にも影響を与えるのではないかと思います。また大阪にサテライトキャンパスができました。上智は首都圏には強いが地方には弱い感じがしていましたので、コミュニティカレッジの講座を開くなどして、関西でも上智ありということでやっていきたいと思います。また福岡の泰星中高が上智福岡中高と名称を変えて、高大連携を強くし、より良い受験生を全国規模で集める手掛かりとして始めたのですが、他にもそのようなことを考えています。
…… イエズス会が経営している中高は神奈川県の栄光、神戸の六甲、広島の広島学院がありますが、なぜ泰星中高だけ名称を変えたのですか。
…滝澤学長 三校とも進学校として頑張っていますので、なかなか上智大学と全面的な教育提携をするところまではいっていません。今後も広くカトリック系高校を含めて折衝は続けていきますが、手始めに泰星中高を上智中高にしたわけです。
…… カトリック校も横浜の聖光学院や鹿児島のラ・サール中高など大学進学校として成績を上げているところは生徒も集まりますが、そうでないところは少子化などの影響を受け経営が難しくなってきていますね。上智福岡中高への名称変更で、単なる受験学力が高いというだけではなく、問題意識や視点を持った学生が集まってくるといいのですが。
…滝澤学長 その通りで、ここ数年が正念場です。
…… 上智は「Men and Women for Others,with Others」を建学精神に掲げていますが、大震災被災地に学生をボランティアで派遣する計画はありますか。
…滝澤学長 5月の連休、そして夏休みに派遣する準備を進めています。被災した方々に迷惑をかけてはならないので、事前の準備、教育、訓練に力を入れ、また参加者は欠席扱いにしないよう各先生方にお願いしているところです。

▼自由競争で機能しない法科大学院制度

…… ところでアメリカのロースクールを真似して2004年にスタートした法科大学院ですが、どうですか。
…滝澤学長 全般的に見て、あまりうまく機能していないようですね。
…… 日本の学校教育は、制度をいじればいじるほどおかしくなっていく。大学入試で導入された「大学入試センター試験」も、受験戦争をエスカレートさせて偏差値至上主義のいびつな学校教育にしてしまいました。私は共通一次試験導入の時に文部省を担当していましたが、文部省は大学独自のユニークな二次試験を行うために、高校でどのくらい学んだかを調べる基礎的問題を出すので受験生の負担にはならないと説明していました。しかし現実は二次試験の「足切り」に使われています。
…滝澤学長 法科大学院も似たところがありますね。日本は極端な平等社会ですから、ある大学が法科大学院をつくると、我も我もで74校もできてしまった。そうすると競争が起きて、法科大学院の序列ができる。つまり日本的な平等主義と競争社会のために、当初考えたようには制度がうまく機能しないのです。当初は74校もつくる計画ではなかった。
…… 司法試験の合格率も当初は70%程度と想定していたようですが、現実は3、40%に落ちてしまった。学費がかかるので貧しい家庭の子弟は入学できなくなり、法科大学院も貧富の格差を拡大する手助けをしているのではないかという批判も出てきています。
…滝澤学長 ちょうど時期も悪かったですね。法科大学院は2、30校しかつくらないと規制すればよかったのに、小泉政権の打ち出した市場原理主義に基づく自由競争で、という声が強くなり、文科省はほとんど全部の開設を認めてしまったわけです。

▼合格率もそこそこの上智法科大学院

…… 小、中、高校のカリキュラムも同じ問題を抱えています。1970年代に一挙に内容を高度化したため、落ちこぼれや登校拒否の問題が出てきた。やっと遠山文相のときに30%削減を打ち出したら、塾をはじめ教育産業に反対されて「ゆとり教育」をあっさり撤回してしまいました。文部官僚には命をかけても教育のために信念を貫く役人がいないのが現実ですね。
…滝澤学長 上智の法科大学院には受験生がたくさん応募してきますし、合格率もそこそこいいですが、他の合格率が低いところは何億も赤字を出していますから経営的にも大変ですね。
…… 有能と思われる弁護士の多くが法科大学院の教授になっているのも問題ですね。
…滝澤学長 弁護士救済策にもなってしまった。

▼再考の余地ある裁判員裁判制度

…… 裁判員裁判制度も問題を抱えています。私は少年事件の追跡取材もしてきましたが、裁判員裁判制度では少年事件を審理するのは難しいのではないかという感じがしています。そもそも裁判員が可塑性に富む少年の再生を配慮する少年法を理解できていないのが現実で、被害者感情に流されて、少年事件でも厳罰傾向が強くなっています。

…滝澤学長 国民が裁判に関心を持つ手段としては裁判員裁判制度はいいのではないかと思いますが、今のような形でいいのかは再考の余地があります。もう少し違ったやり方があるのではないでしょうか。殺人のような重い事件ではなくて、軽い事件に関与してもいいし、刑事事件ではなく民事事件に関与してもよいわけで、裁判に関心を持つことが狙いなら、刑事の凶悪事件は市民に負担が重過ぎると思います。
 私たち市民がかかわる裁判では契約がどうしたとか、土地の争いが多いですから、紛争が起きたら裁判所に行くんですよ、ということを知ってもらうためなら、もう少し違った形で裁判員裁判制度を運用してもよいかと思いますね。
…… 殺人事件で、しかも凶悪事件に限定して裁判員裁判制度を導入したのは、法務省が国民に責任転嫁したのではないかという批判もありますね。
…滝澤学長 重罪に関して素人が関与するというのは、外国にも多いのです。それで外国もやっているから日本でも導入してみようということだと思います。
…… フランスの場合はどうですか。
…滝澤学長 フランスの陪審員制度は殺人事件など重罪だけです。ヨーロッパではイタリア、ドイツなどでも同様の制度を採用していますからね。

▼ヨーロッパ法を鳥瞰する本を

…… 滝澤学長は今でもフランス法の研究を続けておられるのですか。そのテーマは何ですか。
…滝澤学長 フランス法だけでなく、比較法と言って、もう少し広く、いろいろな国の法の違いについて最近は関心を持っており、概説書も書きました。比較法となると世界全体につながりますが、フランス法との中間でヨーロッパ全体の法を鳥瞰(ちょうかん)するような分かりやすい概説書でも書けたらいいなあと思っています。
…… これからヨーロッパは激しく変化していく時代だと思いますので、学長は上智の顔ですから、遠慮せずにメディアに登場していただきたいですね。
…滝澤学長 チャンスがあれば、そうしたいと思っています。
…… 一昔前は広く浅く知識を身につけている人が重宝されましたが、最近はひとつのテーマを深く掘り下げる専門性のある方がアピール度を高めてきています。ぜひ研究は続けられてください。ところでご家族は。

▼研究者一家の家族

…滝澤学長 法政大学法科大学院の教授をこの3月に辞めた妻と、息子と娘がいます。二人とも研究者の卵のような感じですね。
…… 研究者一家ですね。奥様とはどこでお知り合いになったのですか。
…滝澤学長 同じ東大の大学院でです。民法が専門です。
…… お子さんは何を研究されているのですか。
…滝澤学長 長男はカントを中心にドイツ哲学をやっており、非常勤講師をしています。長女は20世紀のフランス文学をやっていますが、学術振興会の特別研究員です。娘は最近までフランスに4年、スイスに1年留学していました。
…… 滝澤学長自身はフランスには留学されたことがあるのですか。
…滝澤学長 子どもたちが小さかったころに2年間留学しました。1年は単身で、あとの1年は家族も一緒でした。
…… ご両親は健在でしょうか。
…滝澤学長 父は数年前に亡くなり、母は健在で地元の信州大学でフランス文学の先生をしていた兄と一緒に生活しています。
…… ご健闘をお祈りします。お忙しいところありがとうございました。
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