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【スペシャルインタビュー】瀧澤正上智大学長に聞く(2/3)

この4月に上智大学の第14代目の学長に就任された滝澤正氏に、学生時代の思い出から、上智に来られた理由、そして学長就任後の心境や活動など、多岐にわたってお伺いしました。

第14代上智大学長 滝澤正氏 インタビュー
日時:2011年4月20日
場所:上智大学学長室にて
聞き手:横川和夫('60文新)、土屋夏彦('80理電)


(~ スペシャルインタビュー(1)より続く)

ssk110420011.jpg


▼だれもやらない基礎法のフランス法に

…… 滝澤学長の場合、フランス法が専門ですね。なぜフランス法なのですか。
…滝澤学長 2年で修士号を、そして博士号を取るまでに5年かかりましたから大学院には7年いました。法律の中でもこせこせしないのが基礎法分野で、外国のことを調べたり、昔の法を調べたりします。フランス法はだれもやっていない、そうした基礎的なところを勉強するのも必要だろうと思って。
…… フランス語はおできになったのですか。
…滝澤学長 大学に入ってからですから、それほどでもありません。私の2歳年上の兄が京大に行きましてフランス文学をやっていたのですね。フランスという点では兄弟はつながっているのです。
…… フランス法では何を追及されているのですか。面白いという興味、関心がないと研究は長続きしないと思いますが。何が面白いのですか。
…滝澤学長 いろいろ勉強していると、何か分かってくるものが必ずあるのですよ。何でこうなっているのかと調べて、しばらくは何も分からない。しかしある時、ああなるほど、こんな筋道で考えるとフランスの法律制度は、こんな時代背景でこんな仕組みで出来上がっているのか。そういう筋道を理解できると、非常に気持ちがいいです。ですからそれが励みになるわけですね。

▼日本の法律のルートはフランス法

…… 日本の法律の場合、フランス法の影響を受けているのでしょうか。
…滝澤学長 ドイツ法の影響のほうが大きいですよ。戦後はアメリカの影響も非常に強いですが。明治の初めはフランス法が専ら日本に入って来ていたので、フランス法の影響もかなり残っているのです。
…… 例えばどんなところですか。
…滝澤学長 今の民法はドイツに近いですが、その前にフランス人のボアソナードがつくった旧民法はほとんどフランス法をモデルにしていたのです。他の分野でも日本の今の法律のルーツをたどっていくと、フランス法の要素がありますので、今の法律を考える際には役立つと思います。
…… なぜ日本はフランス法からドイツ法へと切り替えていったのですか。
…滝澤学長 明治憲法をつくって、日本の国家体制そのものがプロイセンドイツ型になっていく。そうなるとフランスは進歩的すぎるからドイツの方が明治憲法体制にふさわしいということになり、ドイツをモデルにしたので、法律全体もドイツ型になっていくのです。
…… 仮にドイツ法型にならなかったら、日本は今のような状態にはならなかったですか。
…滝澤学長 変わったと思います。専門的な話になりますが、ドイツの法律は理論的、体系的なのです。だから日本人には取り入れやすい面もあるのです。フランス法はより体験的というか実践的ですから、フランス法を採り入れていれば、われわれの生活そのものが西洋的なものを理解しないといけないようになる。ドイツ法の理論的な体系だけを採り入れたので、法律は非常に立派にできているのですが、我々の実際の生活は、それと違った生活形態がありえた。それで最近、司法制度改革審議会なるものが日本はもっと法化社会にならないといけない、法令が実際に社会を動かすような社会にしようと盛んに言ってます。それは恐らくドイツ法が基礎にあったからだと思いますよ。
…… フランス法的なものが日本社会に取り入れられていたら、日本の社会は今より良くなっていたとお考えですか。
…滝澤学長 少なくとも多様な考え方が入ってきたほうがよかったと思います。

▼国際関係法学科づくりのため上智大へ

…… 大学院を出られて、それからどうなっていくのですか。
…滝澤学長 昭和51年、1976年に博士号を取って、その4月から上智大学のお世話になったのです。きっかけは当時のピタウ学長などが提唱して、上智大学は近い将来、法学部に国際関係法学科をつくるという構想があった。できたのはそれから5年後ですが、将来の布石として外国法を勉強している人も必要だろうということで「来ないか」という話になったのです。
…… 「来ないか」というのはだれから言われたのですか。
…滝澤学長 東大の私の先生と上智の比較法の先生と、その仲を取り持つ東大名誉教授で、当時、上智大教授の鈴木竹雄先生がおりまして…。
…… 躊躇されることはなかったのですか。
…滝澤学長 東大で博士号を取ると引く手あまたで、中央、立教、北大など、いろいろな大学から来ませんかという話はあったのですが、私の指導教授が「これからは上智がよくなるから上智がいいよ」と言う。それで上智と決めたのです。
…… 私は1960年に卒業しましたが、当時の上智大学は三流、四流大学もいいとこで、「情痴大学」と揶揄されたものです。
…滝澤学長 私もよく知らなかったです。中央、立教の方がよく知ってましたよ。北大は遠いからどうしようもない。私が来た頃からピタウ学長が頑張ったこともあって、結果的には正解だったと思っています。
…… カトリック信者でもない。卒業生でもない。そういう人が学長になったということは上智創設以来初めてで、その点では画期的な出来事だと思いますが。
…滝澤学長 私もそう思います。
…… 上智大学をよく知らないで入ってこられて、実際にどうでしたか。
…滝澤学長 居心地がいいですね。研究者、教授を大事にしてくれているという感じですね。他の大学から漏れ伝わってくる情報ですと、教員も労働者の1人としてどんどん働かせる、ただそれだけの存在のように扱う大学もありますが、上智はそうではなくて、学者として扱ってくれる感じがして、いいと思いますね。

▼上智を愛することではだれにも負けない

…… 経営母体がイエズス会で、しかもカトリックという組織は頂点にバチカンが控えています。ともすると上からの管理体制の枠にはめ込まれて、その狭い枠の中だけでしか身動きできないのではないかと危惧されますが。
…滝澤学長 そうだと思っていました。私は全くの外様ですから学長になるなどとはしばらく前は全く予想もできなかった。当然、神父さんや信者の方々または上智出身者でないと学長になれないと思っていましたから。ところがだんだん神父さんの数も減ってきたし、人材もなくなってきたのだと思います。だから信者でないとなどと言っておられなくなってきたのだと思います。
…… ドイツの大学では、出身大学では教授になれないという大原則があり、日本の大学のさまざまなコネ重視とは違った構造になっているようです。地震、津波、原発事故と未曾有の大災害に見舞われ、従来の価値観が根底から問われ始めた年に学長になられたのは、大きな啓示かもしれないですね。
…滝澤学長 立教でも既にプロテスタントでない人が学長になったり、いろいろな動きがありますね。遅かれ早かれ、上智もそういう事態になったのかもしれません。私も昭和51年に来て、35年も上智で教師をやっていますから上智出身とかカトリックではありませんが、上智を愛するということではだれにも負けないと思っています。卒業生とか信者というバックがないだけで、上智に対する思い入れは強く持っていますので、それでカバーできるのではないかと思っています。

▼きちっと仕事をやる信頼感が学長候補に

…… お話しをうかがっていますと、学長になりたいと思っていたのではないようですね。
…滝澤学長 可能性は全然ないと思っていましたから。学科長を6年、法学部長を4年、あと図書館長を2度やって、最後は法科大学院をつくって院長を4年やりました。学内のいろいろな仕事をやらせていただいて、仕事をきちっとやってくれるという信頼感が生まれてきたのではないかと思います。
…… 学長に立候補する場合は、自分の方針を打ち出しますよね。
…滝澤学長 上智の場合は立候補ではなく、学長推薦委員会で3人の候補を推薦する、推薦されても断る選択肢が全くないわけではありませんが、お断りする理由もないからオーケーしますということで候補者になったわけです。
…… しかし投票して決めるのだから、学長になったらこうするといメッセージは出すのでしょう。
…滝澤学長 そうですね。候補者に決まった後、既定の様式があり、具体的なことは公約できませんので、時代の変化に対応していくためにも皆さんの意見を集約して上智を少しでもよくしていきましょう、情報発信をきちんとして改革を進めていきましょう、といったことを述べました。

▼三人の信頼する副学長とチームワークで

…… 学長になったからには、リーダーシップを発揮し、決断を下す責任が課せられてくると思いますが。
…滝澤学長 まだ少ししか仕事をしていませんが、学長職はかなりの部分が大学の象徴、いわば飾りのようなものですね。多くの会議に出席し議長をしたり、挨拶文を書いたり実際に挨拶したり、そんなことばかりです。実際の仕事は3人の副学長にお願いするということで、副学長にふさわしい人を選ぶというのが私の最初の大事な仕事でした。
…… どんな方を副学長に選ばれたのですか。
…滝澤学長 3人の副学長は、学務担当が理工学部の曄道(てるみち)佳明先生、学術交流担当が国際教養学部のアンジェラ・ユー先生、総務学生担当が神学部の神父さんで増田祐志先生。高祖理事長とも相談して私が指名し、最終的には理事会の承認を得たわけです。三人の方には非常によく協力していただいているので、信頼する副学長がいれば、チームワークがとれて全体として仕事ができるのではないかと思っています。

▼マネジメントは理事会が

…… 学長は上智の顔ですが、学長の役割はどういうところにありますか。理事会もあるので、マネジメントはどこがするのですか。
…滝澤学長 それは大学によって違います。総長という形で学長と理事長を兼務している大学では学長のリーダーシップが強い。上智の場合は学長と理事長と分かれていて、理事会が強い力をもっています。伝統的にイエズス会が経営を担っていて、神父さんが大多数を占める理事会がマネジメントを担当しています。教学サイドでいろいろ考えるのが学長の役割ですが、その調整に難しいところがありますね。
…… ということはマネジメントは現実的に対処しなければならないけれど、学長は理想の大学像を追い求めることはできる、その立場にあると言うことですね。
…滝澤学長 その通りです。資金や人的側面から考えると実現するかどうかはわかりませんが、私の方からこのような改革をしていきたいという提案はしていかなければならないと思っています。
…… 滝澤学長としては、どんな大学にしていきたいと考えていますか。最近は他の大学も国際化に力を入れたりして、上智の特徴が失われてきているように思いますが。
…滝澤学長 おっしゃる通りですね。早稲田も立命館も国際化に力を入れ、しかも人的資源も財力もあるから、上智は押されっ放しというのが実態だと思います。しかも神父さんの数は減ってきているので、特色を出しにくくなっていますね。上智は大きな大学ではないので、すべてにわたってトップを走るといった総合力では太刀打ちできません。国際化という中で特色を出していかなければならないと考えています。(つづく
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