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三水会2013年10月講演会

■講演テーマ:「女優・夏目雅子はなぜ早世したか?」■講師:加賀美 均(かがみ ひとし)さん(‘76年法法)    公益財団法人日本骨髄バンク・広報渉外部主幹    http://www.jmdp.or.jp/" http://www.jmdp.or.jp/ ■日時:2013年10月16日(水)18時30分~21時
■場所:ソフィアンズクラブ■参加者数:20名加賀美均氏▼血液のがんである白血病が増えているのはなぜか?私の所属している公益財団法人日本骨髄バンクは、白血病患者... <blockquote><p>■講演テーマ:「女優・夏目雅子はなぜ早世したか?」<br />■講師:加賀美 均(かがみ ひとし)さん(‘76年法法)<br />    公益財団法人日本骨髄バンク・広報渉外部主幹<br />    <a href="http://www.jmdp.or.jp/&quot; http://www.jmdp.or.jp/" target="_blank" title="http://www.jmdp.or.jp/&quot; http://www.jmdp.or.jp/">http://www.jmdp.or.jp/" http://www.jmdp.or.jp/</a> <br />■日時:2013年10月16日(水)18時30分~21時<br />
■場所:ソフィアンズクラブ<br />■参加者数:20名<br /></p></blockquote><br /><img src="http://blog-imgs-59.fc2.com/c/u/m/cumsophia/201401132317032b6.jpg" alt="①正面写真RIMG56589" border="0" width="430" height="323" /><br />加賀美均氏<br /><br /><span style="font-size:large;">▼血液のがんである白血病が増えているのはなぜか?</span><br /><br />私の所属している公益財団法人日本骨髄バンクは、白血病患者の命を救うことを最大のミッションとしています。財団は、血液のガンである白血病患者の有効な治療である骨髄移植等の橋渡しする事業を展開しています。<br />日本の白血病の年間の発症数は、昨年まで7千人くらいでしたが、今年になって1万人を超えている(悪性リンパ種を含むと約1万3千人)と公表されました。そして白血病で亡くなる方はおよそ8千人、厳密に言うと7,726人・人口10万人あたり6.06人が毎日、白血病で命を落としている計算になります。<br />一方、交通事故の年間死者数は、昨年4,412人で年々減少しています。他方で白血病が増加しているのは何とも皮肉な結果です。因みに1970年の年間交通事故死者数は、1万6,765人で当時「交通戦争」と言われていました。それに近い数字が白血病でも将来あり得るかもしれません。<br />血液のがんである白血病が増えているのはなぜか?原因は定かでありませんが、一般に社会が高齢化しているためとも指摘されています。また、不確定要素としてフクシマ原発事故による後遺症としての白血病がこの先どの程度発症するのか予断を許さないのです。現在、日本中その危機意識がマヒしています。世の中全体に危機が日常化しているムードがあり憂慮せざるを得ません。<br /><br /><img src="http://blog-imgs-59.fc2.com/c/u/m/cumsophia/20140113231853e46.jpg" alt="②オープニングRIMG56597" border="0" width="430" height="323" /><br />講演会のオープニング様子<br /><br /><span style="font-size:large;">▼もし骨髄バンクがあったら、惜しまれる女優夏目雅子さんの死</span><br /><br />骨髄バンクは、1991年1月にスタートしました。今年で22年目です。今年9月まで公益財団法人骨髄移植推進財団でしたが、10月1日から「公益財団法人日本骨髄バンク」と名称が変わりました。ここには、公共広告機構(ACジャパン)作成した多くのポスターがありますが、これらは骨髄バンクの歴史を象徴しています。例えば、享年27歳、急性白血病で亡くなった女優夏目雅子さんのポスターのコピーを紹介します。「昭和60年(1985)-その美しい人は、白血病に倒れた。あの頃もし日本に骨髄バンクがあり、あなたのドナー登録があったなら、ぼくらは46歳の夏目雅子さんに会えたかもしれない」と。このポスターは今から10年前のものですが、骨髄移植で白血病を克服し今も存命であれば美貌の夏目雅子さんは、56歳で大型女優として映画にテレビに名を馳せていたことでしょう。残念です。<br /><br /><img src="http://blog-imgs-59.fc2.com/c/u/m/cumsophia/2014011323200408e.jpg" alt="④講演の様子 ポスター説明RIMG56656" border="0" width="430" height="323" /><br />夏目雅子さんのポスターの説明をする加賀美氏<br /><br /><span style="font-size:large;">▼海外に比較し絶対的に少ない日本の骨髄移植ドナー(提供者)</span><br /><br />白血病患者への提供方法は、一般的に二つあります(他にさい帯血移植がある)。一つは、骨髄移植です。これは、ドナーが全身麻酔をして腰の骨から注射器で骨髄液を吸引し、採取した骨髄液を患者の静脈へ点滴で注入する方法です。もう一つは、末梢血幹細胞移植です。末梢血には通常造血幹細胞はほとんど存在しませんが、白血球を増やす薬(G-CSF)を注射すると、末梢血中にも流れ出します。採取前の3~4日間連日注射し造血幹細胞が増えたところで、血液成分を分離する機器を使い造血幹細胞を採取し白血病患者に注入し治療します。どちらの方法にも一長一短があります。<br />人の赤血球には、ABO型があるように白血球にもHLA型という型があります。骨髄移植・末梢血幹細胞移植では、患者さんとドナーのHLA型の一致が必要です。HLA型の一致しない移植は、拒絶反応などの重篤な合併症(GVHD)の恐れがあります。HLA型適合の確率は兄弟姉妹間では4分の1ですが、非血縁者間(他人間)では、数百~数万分の1となります。だからこそドナー登録者数を増やす必要があるのです。とりわけ、若年層のドナー登録を望んでいます。現在、登録者数は、9月末で436,998人です。因みに、米国は7,062,114人、ドイツは5,043,293人で一桁違います。HLA型が合いにくいので母数、つまりドナー登録者を増やす必要があるのです。そうすれば患者に適合する確率もそれだけ多くなります。<br /> 最近のデータ(9月末現在)を見ると患者登録者数(現在数)は2,896人、移植例数(1993年の最初の移植から今年9月末まで20年間の累計数)は16,083例です。実は2回骨髄提供された方が943人もいます。一生涯に2回だけしか提供できません。この数字を見ると「世の中すてたものじゃない!」と思うと同時に、崇高な精神を持った彼らに最大限のリスペクトをしたいと思っています。<br /><br /><span style="font-size:large;">▼ドナー登録の現状と展望―あってはならない同意の撤回</span><br /><br />それではここでドナー登録から提供までがどうなっているかというと、ドナー登録は2ml、サイコロ2個分の採血だけで登録完了です。これを日赤の骨髄データセンターが個人情報を含め管理し、ドナーと患者の白血球のHLA型が適合するかをコンピュータ検索します。適合すれば、提供意思を確認する通知がドナーに送られます。次に移植コーディネーターや調整医師の事前説明や問診を受けます。提供意思があれば健康状態をチェックするため採血します。さらに家族や第三者を交えて最終同意にサインします。これが、ドナー登録から提供まで流れです。<br />そしてドナーの白血球のHLA型が患者と適合し、ドナーが提供したいという任意の意思表示があればコーディネートが進みます。さらに家族や第三者の立ち会いの下、本人の最終同意が行われます。最終同意があると患者さんは、それを前提に無菌室に入り前処置を行います。具体的に言うと、移植に先立ち患者さんは、自身の造血組織および腫瘍化した細胞を根絶するために致死量を超える抗ガン剤投与や全身に放射線照射を受け準備態勢に入ります。もしこの時点で同意が撤回されると患者さんは亡くなります。あってはならないことですが、こういったケースがまれに起こるのも事実です。悩ましい問題と言わざるを得ません。先ほどの2回提供する崇高なドナーもいれば、極めて少数ですがこうした残念なドナーもいるわけです。<br />今日の医学研究は、日進月歩です。例えばiPS細胞の実用化、創薬や培養の開発が進めば、白血病はかつての結核と同じように治る病気に変わるかもしれません。そうなることが望ましいのですが、いま現に白血病の患者がいるわけですから当面は骨髄移植でクリアーしていくしかないのです。<br /><br /><span style="font-size:large;">▼重責増す骨髄バンク―求められるボランティア精神</span><br /><br />骨髄バンクは、下からのボトムアップでできたボランティアが支える民主主義的組織です。大げさに言えば、日本の歴史上極めて稀な組織です。他の多くの団体のようなトップダウンの組織とは真逆な立ち位置にあります。22年前のスタートの地点に戻ればそれはおのずから明らかです。名古屋の白血病患者とその家族の一声が全国津々浦々の人々の共感を呼び、国に働きかけ国を動かして出来上がった組織です。「患者の命を救う」というメッセージは、普遍的なものです。これは、上智大学の建学の精神「Men and Women for the Others, with Others」(他者のために他者とともに生きる)とも共通します。 <br />昨年9月「造血幹細胞移植推進法」が成立したことにより骨髄バンクの法的根拠が出来ました。これにより地方自治体や日赤もこれまで以上に責務を負うことになり、日本骨髄バンク自体も重責を負うことになります。<br /><br /><span style="font-size:large;">▼謎に包まれた人体という「小宇宙」の不思議</span><br /><br />ここで骨髄移植にまつわる不思議を三つ紹介します。一つは、ドナーの造血幹細胞を患者に移植すると血液型が変わってしまうことです。例えば、患者がO型であったのにドナーがA型だとしたら患者の血液はO型からA型に変わってしまうのです。人の性格まで変わってしまうのか定かではありませんが不思議な現象です。これは、移植された造血幹細胞が新たな血液を造り出すようになるためです。骨髄移植で重要となる白血球のHLA型と赤血球のABO式には関係性がなく、移植にABO式血液型の一致は必要ないために起きるのです。二つ目は、白血球のHLA型はとても魅力的でロマンチックだということです。非血縁者間の適合率はマックス数万人に一人です。兄弟姉妹間では4分の1が適合します。逆に言うと4分の3の兄弟姉妹は適合しません。少ない方の4分の1の兄弟姉妹と同じHLA型が見も知らない赤の他人の中に存在するのです。しかも日本人だけでなく、世界中にとりわけ東アジア一帯に存在するのです。何ともスケールの大きな話ではありませんか。国境を超え、歴史的空間を超えているからです。「ウォリーを探せ!」で先祖が一緒の血のつながった兄弟姉妹をタダで探してもらえるのです。そしてその人を自分が救うのです。奇跡というか不思議な縁というか大いなるロマンを感じざるを得ません。三つ目は、注入したドナーの造血幹細胞がなぜ患者に生着するのか医学的に証明できないことです。人体の神秘性です。人体はまさしく小宇宙の世界で謎に包まれているのです。<br /><br /><span style="font-size:large;">▼待たれた骨髄バンクの誕生</span><br /><br />最後に今日のテーマである「女優・夏目雅子はなぜ早世したか」の答えです。これまでの話しでお分かりのようにその当時まだ日本に骨髄バンクはなく、夏目雅子さんはその機会に恵まれなかったからです。逝去してから6年後に日本に初めて骨髄バンクが誕生するのです。当時、白血病と言えば不治の病と言われ、治療法がなかったゆえの結果でした。しかし、今、白血病は骨髄移植・末梢血幹細胞移植、さい帯血移植等の治療法で助かるのです。<br /><br /><span style="font-size:large;">▼感想</span><br /><br />今回は、講演中に意見交換を行うような形式で進められ、具体的な骨髄の提供の方法についての質問等があった。また、同意をしたドナーがいわゆる「ドタキャン」をしたため、前処置をしたまま患者さんが亡くなったという事例については、会場では憤りの声もあがり、意見交換がされた。大変重たいテーマを、加賀美さんがわかりやすく説明して下さり、特に人間の身体の構造には、科学技術が進歩しても未知の領域があることを知り、宇宙のロマンや神様の存在も感じるような内容だった。個人的には、学校の後輩にあたる“夏目雅子”さんが、骨髄移植で白血病をなおされてら今も女優として活躍される可能性があったかもしれないと考えると、大変残念だと思った。今後の骨髄バンクと加賀美さんのご活躍をお祈りしたい。 <br />参考:日本骨髄バンク ホームページ <a href="http://www.jmdp.or.jp/&quot; http://www.jmdp.or.jp/" target="_blank" title="http://www.jmdp.or.jp/&quot; http://www.jmdp.or.jp/">http://www.jmdp.or.jp/" http://www.jmdp.or.jp/</a><br /><br /><img src="http://blog-imgs-59.fc2.com/c/u/m/cumsophia/20140113232005b7b.jpg" alt="⑥懇親会RIMG56710" border="0" width="430" height="323" /><br />懇親会の様子<br /><br /><blockquote><p>加賀美 均(かがみ ひとし)プロフィール<br />1976年~2008年内閣府管轄の(財)日本広報センターに所属し、政府広報(国内外)を広報部長兼広報部次長として企画立案し映像媒体(テレビ・ラジオ・映画等)を通じて広報活動に従事された。2008年からは、厚生労働省管轄の公益財団法人日本骨髄バンク広報渉外部に属し、公共広告機構(ACジャパン)等による広報活動、日本赤十字社と協働の骨髄バンクドナー登録の実施や経団連加盟の企業に寄付金要請等の活動をおこなっている。<br /></p></blockquote>
  • Date : 2013-12-30 (Mon)
  • Category : 三水会
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上智大学メディアジャーナリズム研究所シンポジウム(8)(感想)沖縄大学非常勤講師 具志堅勝也氏

「日米安保と沖縄問題」を巡る報道の温度差沖縄大学非常勤講師 具志堅勝也氏 筆者はRBC琉球放送とQAB琉球朝日放送で、合わせて三十五年間にわたり勤務した。その大半は報道部局である。ネットワークの違いはあれど、両方の局で同様に身に染みて感じたのが、日米安保や沖縄の基地問題に関する報道を巡っての、本土と沖縄の温度差である。 2004年、沖縄国際大学に米軍普天間基地のヘリが墜落した。奇跡的に県民に死傷者... 「日米安保と沖縄問題」を巡る報道の温度差<br /><br /><img src="http://blog-imgs-59.fc2.com/c/u/m/cumsophia/2014011322354620d.jpg" alt="(8)具志堅勝也さん" border="0" width="430" height="323" /><br />沖縄大学非常勤講師 具志堅勝也氏<br /><br /> 筆者はRBC琉球放送とQAB琉球朝日放送で、合わせて三十五年間にわたり勤務した。その大半は報道部局である。ネットワークの違いはあれど、両方の局で同様に身に染みて感じたのが、日米安保や沖縄の基地問題に関する報道を巡っての、本土と沖縄の温度差である。<br /><br /> 2004年、沖縄国際大学に米軍普天間基地のヘリが墜落した。奇跡的に県民に死傷者は出なかった。事故発生直後、QABのニュースデスクはキー局のデスクに一報を送り、上りニュースの指示を仰いだ。<br /><br />キー局「けが人は出ましたか?」<br />QAB「県民には出ていません」<br />キー局「それなら三十秒だけ上ってください」<br />QAB「こんな大変な事故をたった三十秒では伝えきれません」。<br /><br /> 結局一分のストレートニュースで上ることになった。夕方、沖縄に系列局のない日テレ以外の民放とNHKの全国ニュースをモニターしていた筆者は愕然とした。各局のトップニュースはいずれも「ナベツネが巨人軍オーナーを辞任」だったのである。米軍ヘリ墜落は三番目から四番目に短めに報道された。在京の局にとって、米軍ヘリが民間地域に墜落した事故より、ナベツネ辞任の方がニュースとして重要だったのである。<br /><br /><img src="http://blog-imgs-59.fc2.com/c/u/m/cumsophia/20140119103907ac8.jpg" alt="(8)1空中空輸機" border="0" width="430" height="323" /><br />住宅地上空を飛んで着陸する空中給油機(普天間基地)<br /><br /><img src="http://blog-imgs-59.fc2.com/c/u/m/cumsophia/201401191039095b2.jpg" alt="(8)2普天間基地" border="0" width="430" height="323" /><br />普天間基地(左は滑走路、右は駐機場、手前は密集する住宅地)<br /><br /><img src="http://blog-imgs-59.fc2.com/c/u/m/cumsophia/20140119103909347.jpg" alt="(8)3駐機中のオスプレイ" border="0" width="430" height="323" /><br />駐機中のオスプレイ(普天間基地)<br /><br /> 米軍による事故事件の度に問題になるのが、日本駐留の米軍や軍人の地位を保障した日米地位協定である。米軍の特権を必要以上に認めた不平等協定だ。沖国大でのヘリ墜落事故では、海兵隊が現場一帯の道路を封鎖し、沖縄県警は大学構内にすら立ち入ることができなかった。日本の国内法より地位協定が優先されたのである。さらに地位協定では日本人を被害者とする犯罪であっても、起訴されるまで容疑者の米兵の身柄を日本当局が拘束できないことになっている。95年の少女暴行事件をきっかけに全国報道でも地位協定問題が取り上げられるようにはなったが、根本的な改正を訴える沖縄側の声が反映される程の世論形成には至っていない。その背景にあるのが、日米安保に対する国民の関心の低さだ。 沖縄返還交渉の際、佐藤総理の密使としてニクソン政権と交渉にあたった若泉敬と、筆者は親交があった。若泉は「緊急時における沖縄への核再持込みの密約を結んだことで、沖縄県民にすまないという思いを生涯抱き続けた。返還後も米軍が居座り続けていることに「日本は米国の属国でしかない。対等な日米関係を築くためにも現行安保を見直すべき」と主張していた。だが密約を暴露した著書「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」(94年)は、政府にもマスコミにも黙殺された。<br /><br /> 2009年、佐藤総理の息子の信二が密約文書の存在を公表したことで、著書の内容が事実と判明した。<br /><br /> だが当時の民主党政権は、「核については米国政府の立場を害することなく、日本政府の政策に背馳しない」と記された佐藤ニクソン会談での日米共同声明第8項を持ち出し「件の文書は第8項の内容を大きく超える負担を約束するものではない」として、佐藤とニクソンが署名した文書の内容を「密約ではない」と切って捨てた。裏を返せば「日米共同声明に〝核の再持込み〝が謳われていると認めたようなものである。だが民主党政権は「密約ではないので核の再持込みもない」と結論付けた。あまりにもでたらめな解釈だが、それを問題視する全国報道はなかった。<br /><br /> 若泉は、金銭欲に溺れ平和ボケした日本の現状を「愚者の楽園」と表現した。半世紀以上にわたり、日本本土と遠く離れた沖縄にのみ安保の負担を押しつけることで、国民の目と意識から安保を遠ざけた。日米両政府にとっては、その方が好都合だったのだろう。<br /><br /> 安倍政権が憲法9条の改定を持ち出したことで、安全保障問題に対する国民の関心が多少なりとも高まったのは皮肉な話だが、沖縄にとっては「安保は沖縄だけの問題ではないと訴える絶好の機会と言えるかもしれない。その観点からも、上智大学メディア・ジャーナリズム研究所の研究対象に「日米安保と報道」というテーマが加わることを期待している。
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上智大学メディアジャーナリズム研究所シンポジウム(7)(感想)武市英雄上智大学名誉教授

 ”自主独立”の立場で上智大学名誉教授 武市英雄氏 上智大学文学部新聞学科に「メディア・ジャーナリズム研究所」ができたことは大変喜ばしいと思います。新聞学科が創設されたのは昭和7年4月です。当時の文部省へ提出した目的は「率先して新聞従業員ノ養成ヲ目的トスル専門学科ヲ専門部門ニ創設シ思想堅実ニシテ有能ナル新聞業員従ヲ新聞界ニ供給」することにありました。 確かに当時の目的は「新聞従業員」を供給することで...  ”自主独立”の立場で<br /><br /><img src="http://blog-imgs-59.fc2.com/c/u/m/cumsophia/201401132223218c7.jpg" alt="(7)武市英雄名誉教授" border="0" width="230" height="243" /><br />上智大学名誉教授 武市英雄氏<br /><br /> 上智大学文学部新聞学科に「メディア・ジャーナリズム研究所」ができたことは大変喜ばしいと思います。新聞学科が創設されたのは昭和7年4月です。当時の文部省へ提出した目的は「率先して新聞従業員ノ養成ヲ目的トスル専門学科ヲ専門部門ニ創設シ思想堅実ニシテ有能ナル新聞業員従ヲ新聞界ニ供給」することにありました。<br /> 確かに当時の目的は「新聞従業員」を供給することでした。しかしニュースの仕組みが年々複雑になり、ニュースの提供者と受信者との構造など、政治学、社会学、心理学、文学、歴史学など総合的に見ていく力が必要になっています。その点、学科の設立者の小野秀雄先生が『新聞研究五十年』(毎日新聞社、昭和46年)の中で、上智大学の新聞学科で次のように述べております。「今日は組織も完備し、ユニークな存在となったが、研究所を付設しておかなかったことは、私の大きな過失であった」(P.177)と記しています。<br /><br /> 新聞学科が約80年経って研究所ができたことは大きな喜びです。<br />大学院と研究所で、これからも専門的な研究者育ててほしいと思います。さらに一般の人びとに、ジャーナリズムとは何かを知らせるシンガポジウムや会報(ネットも含めて)などをPRしてほしいと思うのです。それも研究所からの一方通行ではなく、受け手の人々も大いに発信できる仕組みにしてもらいたい。<br /> 学問とは小野秀雄先生が『新聞研究五十年』(P.300)でおっしゃっているように「自主独立の立場」を守っていくことです。どのような圧力にも負けずに、研究所が将来続けていくことができることを、大いに望みたいと思います。
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上智大学メディアジャーナリズム研究所シンポジウム(6)(感想)上智大学名誉教授 春原昭彦

シンポジュウムに参加した方の中から3人の方から感想が寄せられた。 上智大学名誉教授 春原昭彦 このたび本学創立100年を記念して、新聞学科の教員が中心になり「メディア・ジャーナリズム研究所が設立された。 本学の新聞学科が日本最古の新聞学、ジャーナリズムの教育機関で、戦前から新聞・放送界に人材を提供してきたことは周知の事実だが、戦後の改革によって、新制大学の文学部に所属して以来、講義科目を充実するとと... シンポジュウムに参加した方の中から3人の方から感想が寄せられた。<br /> 上智大学名誉教授 春原昭彦<br /><br /><img src="http://blog-imgs-59.fc2.com/c/u/m/cumsophia/20140113221944fe5.jpg" alt="(6)春原先生" border="0" width="230" height="258" /><br /><br /> このたび本学創立100年を記念して、新聞学科の教員が中心になり「メディア・ジャーナリズム研究所が設立された。<br /> 本学の新聞学科が日本最古の新聞学、ジャーナリズムの教育機関で、戦前から新聞・放送界に人材を提供してきたことは周知の事実だが、戦後の改革によって、新制大学の文学部に所属して以来、講義科目を充実するとともに戦後のマス・コミュニケーション研究の発展に沿って、その範囲、内容を拡大してきた。その開講科目の構成、内容は以前から、同種他大学の範となってきたといってよい。また単独専門の大学院課程の設立も早かった。<br /> この間、スタッフも充実、教員の研究、交流、留学生の増加により教育とともに、研究分野への参加、貢献も充実してきた。だがその成果は個人の研究に頼っているものが多い。<br />いっぽう大学院で研さんを積んだ研究者が増えるにつれ、外部で優れた研究の成果を挙げている例も多い。とくに国籍の異なる研究者の国際比較研究などは、もっとも上智に向いた研究ではないだろうか。まだ研究所の目的、組織、構成など詳細を熟知しないが、その成果と発展を期待している。
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上智大学メディアジャーナリズム研究所シンポジウム(5)田中愛冶氏(早稲田大学理事(教務部門総括)・政治経済学術院(政治学研究科)教授)

「報道におけるアカデミックな視点の有効性~選挙報道を例にとって~ 私はアウトラインとして、ジャーナリズム・スクールのあり方、大学においてジャーナリズムを学び研究することの意味、優れたジャーナリストに共通の特徴、学術的な視点は報道に有効か?ジャーナリズムを学ぶ学生への期待を挙げる。そして「大学では、ジャーナリストのまねごとをせず、報道現場のジャーナリストへは敬意を持って、大学で学ぶべきことは、報道現... 「報道におけるアカデミックな視点の有効性~選挙報道を例にとって~<br /><br /><img src="http://blog-imgs-59.fc2.com/c/u/m/cumsophia/20140113221550387.jpg" alt="(5)田中愛治氏ジャーナリズム教育1" border="0" width="430" height="323" /><br /><br /> 私はアウトラインとして、ジャーナリズム・スクールのあり方、大学においてジャーナリズムを学び研究することの意味、優れたジャーナリストに共通の特徴、学術的な視点は報道に有効か?ジャーナリズムを学ぶ学生への期待を挙げる。そして「大学では、ジャーナリストのまねごとをせず、報道現場のジャーナリストへは敬意を持って、大学で学ぶべきことは、報道現場では見落としがちになる大きな視座と長期的な視点の獲得を目指すべきだ」と述べた。
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上智大学メディアジャーナリズム研究所シンポジウム(4)亀松太郎氏(ジャーナリスト 元ニコニコニュース編集長)

 「私は最初、朝日新聞に入社したが3年で退職し、J:com、Jcastニュースを経て㈱ドワンゴに入社、ニコニコニュース編集長などをしてきた。「ソーシャルメディア」とはインターネットにおいて、ウエブ技術を利用して、サービスの利用者自身が情報を発信し、コンテンツを形成していくメディアである。ソーシャルメディアもいろいろあり「facebook」「LINE」「YouTube」「niconico」「USTREAM」「NAVER」などがある。これ...  「私は最初、朝日新聞に入社したが3年で退職し、J:com、Jcastニュースを経て㈱ドワンゴに入社、ニコニコニュース編集長などをしてきた。<br /><br /><img src="http://blog-imgs-59.fc2.com/c/u/m/cumsophia/2014011322113915a.jpg" alt="(4)亀松太郎氏シンポジウー2ムソーシャルメディア(2)いろいろ2013年10月13日" border="0" width="430" height="323" /><br /><br />「ソーシャルメディア」とはインターネットにおいて、ウエブ技術を利用して、サービスの利用者自身が情報を発信し、コンテンツを形成していくメディアである。ソーシャルメディアもいろいろあり「facebook」「LINE」「YouTube」「niconico」「USTREAM」「NAVER」などがある。これらはリアルタイム、双方向、かんたん。アーカイブが特徴で、生放送もできるがいろいろ種類がある。選挙でも利用され始めた」と話した。
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上智大学メディアジャーナリズム研究所シンポジウム(3)金平茂紀氏(TBSテレビ執行役員「報道特集」キャスター)

日本政治は劣化している。 「私の基本的な考え方は、日本の政治は劣化している、ジャーナリズムも劣化している、そしてアカデミズムも劣化している。新聞、テレビ、ネット、アカデミズムが相乗的に劣化を起こしている。これでは日本は良くならない。 2008年に亡くなった筑紫哲也さんが「ニュース23」という番組の最後の回で次のことを言った「ジャーナリズムの役割は、大きな権力に対して監視の役を果そうとすること、とかく一... 日本政治は劣化している。<br /><br /><img src="http://blog-imgs-59.fc2.com/c/u/m/cumsophia/20140113220342f68.jpg" alt="金平茂紀氏(3)3提言" border="0" width="430" height="346" /><br /><br /> 「私の基本的な考え方は、日本の政治は劣化している、ジャーナリズムも劣化している、そしてアカデミズムも劣化している。新聞、テレビ、ネット、アカデミズムが相乗的に劣化を起こしている。これでは日本は良くならない。<br /> 2008年に亡くなった筑紫哲也さんが「ニュース23」という番組の最後の回で次のことを言った「ジャーナリズムの役割は、大きな権力に対して監視の役を果そうとすること、とかく一つの方向に流れやすいこの国で少数派があることを忘れないこと、多様な意見や立場を登場させることで社会に自由の気風を保つこと」と言った。これが筑紫哲也さんの遺言となった。<br /> しかしこの3つの言葉は現在、全部裏切られている。今私たちの社会は逆の方向に向かっている。監視の役割を果たしていない。少数派に対する目配りがない。多様な意見や立場を伝えていない。そのことによって、どんどん自由が奪われているというのが私の認識だ。<br /> 私なりにまとめると、ジャーナリズムの役割とは、まず権力の行使の有り様を監視すること、英語ではwatchdogで「番犬」という意味で--権力のありようを市民の立場から監視するという役割。次に少数派の声に耳を傾ける。マイノリティに対して配慮のないところに民主主義はない。多数の意見しか顧みないのは民主主義ではない。多様な意見を軽視してはいけないのは、いろいろのもの見方やあり方を創造するのが社会のより良いあり方です。また、今、何を考えるべき議題は何かを優先順位と共に提示することです。<br /><br /> 現在のメディアの位置は?<br /> その意味で、皆さんに是非見ていただきたい映像がある。今現在のメディアのあり様が、どういうところに位置するかを考えていただきたいからだ。<br /> というのは、最近これとは真逆のことが私の関係するところで起きた。今年、参議院選挙の前に私たちの局が自民党から取材拒否を受けた。「ニュース23」という番組の小さい特集の扱いが公平性を欠いていると自民党がクレームをつけてきて、TBSには自民党のある地位以上の人間は一切取材に応じないと言ってきた。それで、これから見ていただく映像をよーく見ておいてください。(この後、41年前の1972年6月17日の退任会見「新聞記者は出て行ってテレビだけいればいい」と言った佐藤栄作首相のビデオを紹介)<br /> このように会見は新聞記者が全部出て行った後にNHKの中継カメラとテレビ局のカメラだけが残ったので、このような映像が残された。これは日本のジャーナリズム史上初めて新聞が喧嘩を売られた。君らは偏向しているから大嫌いだ出てけと言われた。<br /> 彼がよく言ってたのは「紙になると偏向する。テレビはそのままを伝える。国民に直接呼びかけたい。だからテレビはもっと尊重するから前に出てこい」。これは41年前のことです。この頃、テレビはずっと前に来てた。<br /> でも41年経って私が考えるに現在、テレビは「watchdog」から「愛玩犬」になった。良くない状況だが、テレビメディアが権力者や政権与党のペットになった。また新聞は喧嘩をしなくなった。ああいうことを今の新聞記者はやらない。記者会見の間、記者はキーボードを叩いているだけだ。相手の目も見て欲しい。この話の背景は何かを考えて欲しい。<br /> また、ネットは編集なしに、そのまま出演者、政治家の言いたいことを長時間伝える。これはネットメディアが政治家に擦り寄った結果だと思う。<br /> もう一つは、当時と比べるとアカデミズムがマスメディアとの健全な緊張関係を保持し得なくなったと思う。<br /> 提言として4つ挙げます。<br />(1)「公共財」としての意識回復。(2)メディアの間の壁をとっぱらう。<br />(3)個の自立。(4)外とつながる。
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上智大学メディアジャーナリズム研究所シンポジウム(2)吉田慎一氏(朝日新聞上席執行役員 コンテンツ統括・編集担当 )

新聞報道は機能不全 1995年以降IT化が進みコミニケーション革命の中で、それまで新聞、テレビが主流だったがネット社会への相対化が進んでいる。現在の新聞報道は機能不全に陥っている。「昔とった杵柄」路線ではやっていけない。 最大の敵は惰性だとして3つの理由を挙げた。 第1に新聞は政治で起きたことを説明できないままに現実が先に進む。現実が先に進み首相が変わってしまうなど・・・。 第2に記者がビッグピク... 新聞報道は機能不全<br /><br /><img src="http://blog-imgs-59.fc2.com/c/u/m/cumsophia/20140113215709973.jpg" alt="(2)吉田慎一氏朝日新聞" border="0" width="430" height="323" /><br /><br /> 1995年以降IT化が進みコミニケーション革命の中で、それまで新聞、テレビが主流だったがネット社会への相対化が進んでいる。現在の新聞報道は機能不全に陥っている。「昔とった杵柄」路線ではやっていけない。<br /> 最大の敵は惰性だとして3つの理由を挙げた。<br /> 第1に新聞は政治で起きたことを説明できないままに現実が先に進む。現実が先に進み首相が変わってしまうなど・・・。<br /> 第2に記者がビッグピクチャーが描けない。ある事象に対する意味や背景が描けない。(遠景が描けない)そこで、「としたもんだ・・・報道」というものがはびこる。「”欧州の経済危機”では、ヨーロッパで何が起きているか判らない中で、日銀が為替介入するかどうか?など、よく理解できない事象が起きた時は、そのような時のために「としたもんだ」というパターン化した紙面作りをする。<br /> 第3に知らないことを書く技術がない。例えば3.11のような大災害、フクシマ原発事故などのように、新聞記者が誰も判ってない、知らない事象が起きた時、政治がだらだらと発表することを書くだけだった。現場で感じたことを、判らないなら判らないと書く技術が必須だが、それがない。<br />「最大の敵は惰性だ」<br /> 「最大の敵は惰性だ」の対策として次のようなことを行った。<br />(1)「脱記者クラブ、脱マンツーマン」政治部と遊軍を組み合わせる。<br />(2)「政治・経済取材センター」を実験的に作り「国際経済」「金融危機」のチームを作って取り組む。<br />(3)「調査報道の推進」昨年9月「30人位で特別報道センターを作り、調査報道を進めている」「プロメテウスの罠」(特別報道部)はその一つである。<br /> 今年の1月の「福島の除染がインチキ報道」も特別報道部である。<br /> また海外でも、ロンドンにいても、フランス、アフリカもカバーする。<br /> 専門記者の養成。例えば「介護の専門記者」を養成する。<br /> 組織の取材か?個人の取材か?が議論されてきたがパターン化していた。<br /> 個人の持っている構想力やセンスを生かし、いかに組織に再編成するか?<br /><br /> 「急速に進むデジタル化」<br /> 新聞の読者は80%は高齢者で、若い人はデジタル情報の時代となっている。<br />そこで、私たちは「紙」も作れば「デジタル」も作るという新しいモデルを<br />個々の記者の構想力やセンスを生かしていくために、組織ジャーナリズムをリモデリングする。<br /> この2年間、朝日の記者にツイッターをやってもらった。<br />(1)ツイッター プライドと品位   30人位<br />   150万人  ツイッターで取材、発表する<br />      1人  百万人 200人 フォロー<br />(2)新聞記者の個人の力が大事。ジーナリズム教育が必要」と結んだ。<br />
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上智大学メディアジャーナリズム研究所シンポジウム(1)「メディア・ジャーナリズム研究所設立」

記念シンポジウム開催 上智大学メディア・ジャーナリズム研究所が設立され、記念のシンポジュウム「日本政治とジャーナリズム」が10月13日(日)に上智大学10号館講堂で開催された。 最初に上智学院の高祖理事長が「この研究所は長年の夢でした。上智大学の1号館の赤レンガ校舎は1932年(昭和7年)に出来たが、同じ年に新聞科が創設された。当初は夜間部で文部省が認めなかったので専門部としてスタートした。戦後、新制... 記念シンポジウム開催<br /><br /> 上智大学メディア・ジャーナリズム研究所が設立され、記念のシンポジュウム「日本政治とジャーナリズム」が10月13日(日)に上智大学10号館講堂で開催された。<br /><br /><img src="http://blog-imgs-59.fc2.com/c/u/m/cumsophia/20140113214612b91.jpg" alt="(1)シンポジュウム舞台全景" border="0" width="430" height="323" /><br /><br /> 最初に上智学院の高祖理事長が「この研究所は長年の夢でした。上智大学の1号館の赤レンガ校舎は1932年(昭和7年)に出来たが、同じ年に新聞科が創設された。当初は夜間部で文部省が認めなかったので専門部としてスタートした。戦後、新制大学になってから新聞学科は、いろんな分野に人材を送ってきたが、最近のICT革命やグローバル化が進み、これまでの報道、メディア、ジャーナリズムということでは対応できない時代となった。今日は「政治」に焦点を合わせて専門の方々に検討をして頂くが、今後、グローバル化している世界を導き牽引する研究所になって欲しいと期待している」と挨拶。<br /><br /> シンポジュウムは、モデレーターに同研究所所員の柴野京子さんと4人のパネリスト、吉田慎一(朝日新聞上席執行役員 コンテンツ統括・編集担当)、金平茂紀(TBSテレビ執行役員「報道特集」キャスター)、亀松太郎(ジャーナリスト 元ニコニコニュース編集長)、田中愛治(早稲田大学理事・政治経済学術院教授)で行われた。<br /><br /> 最後に音好宏新聞学科教授が次のように述べてシンポジュウムを締め括った。<br /><br /><img src="http://blog-imgs-59.fc2.com/c/u/m/cumsophia/201401132149069c5.jpg" alt="(1)シンポジウム音好宏教授2013年10月13日" border="0" width="230" height="307" /><br /><br /> 「上智大学メディア・ジャーナリズム研究所の設立の関係者の方々にお礼を申し上げる。上智大学は今から80年前に日本で一番最初にジャーナリストを養成する学科として発足した。それ以来多くのジャーナリストを送り出してきたが、10年程前から新聞学科の教員の間でジャーナリズムの研究をする拠点を作るべきだという話が持ち上がった。それは、現在のメディア状況が複雑になってきたこと、ジャーナリズムがやらなければならないことが多くあることからだが、この研究所をジャーナリズム教育、民主主義とは何か、私たちは何をすべきかを考え、20世紀に出てきた考え方を一歩進めて考える拠点としたい。そしてジャーナリズム、メディアを考える場として広く前に進む研究拠点にしていきたいと思う」 取材・まとめ:磯浦康二(1957文新)<br /><br /><img src="http://blog-imgs-59.fc2.com/c/u/m/cumsophia/20140113215117815.jpg" alt="(1)シンポジウム客席2013年10月13日" border="0" width="430" height="323" /><br /><br />感想:多彩な意見が出され有意義なシンポジウムだった。特に、新聞、テレビ、ネットの現場の人たちのナマの声が聞けたのは良かった。新聞学科の学生も多く聞いていたが、それぞれ刺激を受けたと思う。今後の研究所の活動の中でも学生たちに報道現場のナマの声を聞く機会を設けて欲しい。<br /> 一つ残念だったのは、この時既に伝えられていた「特定秘密保護法案」について触れる人が全くなかったことである。(パネリストの発言は別途ページに記載)
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「特定秘密保護法案」成立を阻止しよう。

▼市民活動も違法に・・・ あなたが何気なく撮した写真をネットに掲載したとしましょう。その写真が「特定秘密」に相当するものが写っていると認定されれば、あなたは逮捕される。そのような危険性を孕んだ法律案です。しかも何が「秘密」かも「秘密」だというのです。 「秘密を守る法律」が必要ないとは言いません。日本版NSC(国家安全保障会議)に関係するアメリカなど外国との秘密情報交換に必要というのであれば「防衛」... <span style="font-size:large;">▼市民活動も違法に・・・</span><br /><br /> あなたが何気なく撮した写真をネットに掲載したとしましょう。その写真が「特定秘密」に相当するものが写っていると認定されれば、あなたは逮捕される。そのような危険性を孕んだ法律案です。しかも何が「秘密」かも「秘密」だというのです。<br /><br /> 「秘密を守る法律」が必要ないとは言いません。日本版NSC(国家安全保障会議)に関係するアメリカなど外国との秘密情報交換に必要というのであれば「防衛」「外交」に限ればよいのであって、現在提案されている法案はそれ以外に「スパイ活動など特定有害活動の防止」「テロリズムの防止」が加わっています。<br /><br /> テロリズムについては「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動」とされています。「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要」したと認定されれば「テロリズム」として処罰される可能性があります。<br /><br /> この法律によって取り締まりの対象とされるのは政治家や官僚、ジャーナリストだけではなく一般国民も幅広く監視対象とされています。公務員だけでなく民間人にも重い秘密保持義務を課し過失でも処罰されます。マスコミや一般市民が情報にアクセスする行為も処罰の対象となり「教唆、共謀、扇動」として処罰される可能性があります。<br /><br /> 自民党の石破茂幹事長は11月29日付の自身のブログで、特定秘密保護法案に反対する市民のデモについて「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます」と批判した。市民の主張もテロと同一視し、国民の表現の自由を広範に規制する目的があることは明らかです。<br /><br /><span style="font-size:large;">▼原発情報も特定秘密に・・・</span><br /><br /> 「福島第1原子力発電所事故」関連の情報や「汚染水問題」も「テロ防止」とされれば「特定秘密」に指定される可能性が高く、フクシマ事故後に報じられた「原発構造」なども報道すれば処罰の対象とされるかもしれません。<br /><br /> 「Speedi」(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の情報が公表されず、多くの人が放射能の流れる方向に逃げたため必要以上の被爆をしました。今後、この法律が成立して「Speedi」が秘密に指定されれば永久に国民に知らされることはないでしょう。将来「原発事故」が起きても国民には知らされない可能性もあります。<br /><br /><span style="font-size:large;">▼官僚が情報を私物化</span><br /><br /> 小野寺五典防衛相は11月20日の参院国家安全保障特別委員会で、防衛秘密に指定された文書が5年間で約3万4000件廃棄されていたことを明らかにしました。<br /><br /> 1945年(昭和20年)8月15日~16日は天気は良いのに「霞ヶ関」上空は曇っていたそうです。軍人や官僚が、自分たちに都合が悪いと思った書類を全部焼き捨てていた煙りのためでした。全国の官公署にも書類の焼却処分が命令されていました。国民の税金で集めた「情報」を官僚は私物化してているんです。それは今も同じです。<br /><br /> アメリカは、政府高官の電話の会話もテープにとって公文書におこして残します。内容を非公開とする場合でも、文書そのものは存在することが明示されますす。「公文書は国民のもの」という社会的なコンセンサスがあります。<br /><br /> しかし、日本の場合、公文書は官僚によって恣意的に管理されています。勝手に秘密に指定し、勝手に捨ててしまうのです。これは歴史に対する冒涜(ぼうとく)で納税者に対する犯罪と言ってもよいと思います。<br /><br /> そればかりではなく、後世に歴史を検証することが出来ません。従って歴史に学ぶことが出来ず、同じ過ちを犯すことになるのです。<br /><br /> また、この法律にはハトメがありません。何でも官僚の思い通りに「秘密指定」ができるのです。つまり「何が秘密かも秘密」なのです。法律の「付帯決議」など何の役にも立ちません。国会議員にさえ秘密の内容が明かされないのです。<br /><br /><span style="font-size:large;">▼正当性のない議員が何故?</span><br /><br /> 11月20日、最高裁は去年の衆院選挙での一票の格差をめぐる訴訟で、1票の価値に最大で2.43倍の格差があるのは「違憲状態」である判決を下しました。また、11月28日、広島高裁岡山支部は「一票の格差」が最大4・77倍だった7月の参院選は違憲だとして、岡山選挙区の選挙を無効としました。<br /> 現在の衆参両院議員の正当性が問われているのです。こういう時期に、国の将来を左右するような法案を強引に通すことは、到底許されません。<br /><br /> 自民党は昨年の総選挙でも今年の参院選でも、この法案についてマニフェストには全く記載していませんでした。ならば丁寧な説明と時間をかけた慎重な審議が必要です。それなの、何故短い臨時国会の期間中にどさくさのうちに成立させようとするのでしょうか?まさに議会制民主主義の危機です。<br /><br /><span style="font-size:large;">▼68年前に時計の針を戻す</span><br /><br /> この法律案は戦前の軍機保護法、国防保安法、治安維持法を合体させたような稀代の悪法で、安倍総理の言う「戦後レジュウムからの脱却」の総仕上げとも言うべきものです。この背景になる考えは「国民主権」を排し68年前の「官僚独裁」の時代に戻そうというものです。<br /><br /> 情報を私物化し何でも秘密にしたがる霞ヶ関の「官僚システム」は、これで完全に何でもアリの戦前の状態に戻ったことになるのです。<br /><br /> この法律が成立すれば、日本は「軍機保護法」などがあった68年前に逆戻りします。歴史の歯車を逆に回わそうというわけです。これは、日本版「国家安全保障会議」とセットになっておりアメリカの意向にそうものです。さらに「集団的自衛権」の拡大解釈で、事実上憲法解釈を変更し、日本を世界中で戦争が出来る国にしようとしています。これで、アメリカの尻馬に乗って世界中に軍隊を送れば、日本はたちまち「テロ」の標的になり「世界一安全な国」ではなくなります。それこそ、東京オリンピックなど夢のまた夢となるでしょう。<br /><br /> この法律が通った時が「戦後が戦前になる」瞬間ということになります。恐ろしいことです。<br /><br /><span style="font-size:large;">▼官僚に「魔法の杖」を渡すのか?</span><br /><br /> 「大東亜戦争」(戦後は太平洋戦争と言われていますが)が行われていた68年前、当時の軍事官僚を中心とした「官僚システム」のリーダーたちは「軍事機密」と称して負け戦を隠して戦争を継続し、東京をはじめ日本全土のほとんどの都市が灰燼に帰すまで、更に原爆が広島、長崎に落とされ、更にソ連が参戦するまで戦争を止めようとしませんでした。その間、国民の目、耳、口は「軍機保護法」などで完全に塞がれていたのです。<br /><br /> 私は1945年(昭和20年)4月13日、東京都豊島区にいて、当時中学1年になったばかりでしたがB29が落とす焼夷弾が雨あられと落ちる中を逃げて歩きました。この時の空襲で家族に怪我はありませんでしたが、我が家は跡形もなく焼けました。この城北大空襲は、豊島区域の7割を焼失、焼失家屋34,000戸、罹災者161,661人に及び、B29から投下された焼夷弾は3月10日の下町大空襲を上回るものでした。<br /> 「大東亜戦争」の体験者は少数派となり、軍事官僚や内務官僚を中心とする当時の「官僚システム」の暴虐ぶりを知る者は少なくなっています。彼らは「軍事秘密」と称して自分たちに都合の悪いことは全部隠して「一億総ザンゲ」などと言って「敗戦責任」を国民に押し付け、責任は一切とりませんでした。私は当時を知る一人として、再び「官僚システム」に「秘密」を操る「魔法の杖」である「特定秘密保護法」を渡すわけにはいかないと思っています。<br /><br /><span style="font-size:large;">▼日本の将来の経済発展が遅れる危険も</span><br /><br /> 更に、様々な技術情報が各省毎に「特定秘密」とされれば「宇宙開発」や「感染症」などの研究が阻まれることになります。学際的に研究成果を発表したり発展させることは困難になり、技術イノベーション能力は一層遅れ、日本は世界の技術開発競争に大きく遅れをとる恐れがあるのです。<br /> つまり日本の様々な分野で墨塗りが横行し社会は活性を失います。これは将来の「日本の経済的発展と安全保障」の障害となる恐れのある大問題なのです。<br /><br /><span style="font-size:large;">▼まるで漫画のような・・・</span><br /><br /> 特定秘密保護法案について、政府が 9月に行ったパブリックコメントでは約9万件の意見が寄せられ、そのうち 77%が反対でした。ところが、先月国会に提出された法案は、基本的な部分に変更はなく、パブリックコメントは全く生かされていません。意見の詳細な結果も公表されず聞きっぱなし状態です。<br /> また福島で行われた公聴会で全員が反対や懸念を表明しているのに何の反映もあれませんでした。公聴会をセレモニーと化するなどは国会の自殺行為ではないでしょうかか?<br /><br /> また「野党と話し合って改訂した」と称して「維新」や「みんなの党」などと国会外で協議した結果「秘密の期間を60年」と前より延ばしたり「総理大臣に第三者的にチェック」をさせるなどと、まるで漫画のようなことをやって恥ずかしい思わないのでしょうか?また国民を小馬鹿にしているのでしょか?<br /> いずれにしても急いで成立させることには反対です。国民にとって必要性は全くありません。害があるだけです。「秘密保護」が必要なら、時間をかけて国民にきちんと説明するべきです。今国会では「廃案」にすべきです。<br /><br /> このような「悪法」を子どもたちに残すことはできません。後は参議院の審議で廃案にもっていくしかありません。与野党を問わず参議院議員にメール、FAX、手紙、電話などで「反対」の意思を伝えましょう。(磯浦康二 '57文新)
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